【MLB】レギュラー定着を決定づけた青木宣親の3つのプレイ (2ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu
  • photo by AFLO

 ふたつ目は、それから3日後の4月20日に行なわれたコロラド・ロッキーズ戦です。本拠地ミラーパークで初スタメンとなった青木選手は、レフトが打球を後逸した隙にダイヤモンドを駆け抜け、メジャー第1号となるランニングホームランを記録しました。これはブルワーズにとって、球団史上26人目の快挙。ものすごいカーテンコールが沸き起こったのを良く覚えています。

 そして3つ目が、5月12日のシカゴ・カブス戦。8回ワンアウト一、三塁の場面で、セーフティスクイズを決めたシーンです。青木選手も「細かい技はチームで一番できる」と語り、自身のプレイスタイルを首脳陣にアピールしました。

 スーサイド(犠牲)スクイズで1点、ランニングホームランで1点、そしてセーフティスクイズで1点。メジャー最初の3打点をこのような形で挙げたのは、前代未聞のことじゃないでしょうか。いかにも青木選手らしいプレイで、首脳陣に印象づけたのは間違いありません。その後も1試合2本塁打や、1試合4盗塁など、素晴らしい活躍を見せていますが、この3つのプレイが首脳陣のハートをつかんだ大きな要因でしょう。

 また、青木選手は、ロン・レネキー監督が好むタイプだと言えます。ロサンゼルス・ドジャース出身のレネキー監督は、巨人V9の礎(いしずえ)にもなった『ドジャース戦法(機動力野球)』を選手として経験し、コーチとなってもアナハイム(現ロサンゼルス)・エンゼルスのマイク・ソーシア監督の下で『スモールベースボール』を学びました。昨年までのブルワーズは、3番ライアン・ブラウン、4番プリンス・フィルダーと、一発で勝負を決める豪快なイメージでしたが、本来、レネキー監督が目指している野球は違います。バントや盗塁、ヒットエンドランやスクイズなど、小技をからめた野球なんです。

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