【MLB】崖っぷちの松坂大輔に射し込む一筋の光明

  • 笹田幸嗣●文 text by Sasada Koji
  • photo by Getty Images

復帰後、いまだ勝ち星のない松坂大輔復帰後、いまだ勝ち星のない松坂大輔 復帰後5試合で再び故障者リスト入りとなったレッドソックスの松坂大輔。ボストンのメディアは、09年以降の16勝18敗、防御率5.17の数字を持ち出し、「ダイスケにサヨナラを言う時が来たのか」と冷ややかに報じた。

 6年契約最終年となる松坂の今季の成績は0勝3敗、防御率6.65。しかし、右ひじの大手術後の復帰からわずか1カ月。復帰過程を考えれば、時期尚早であり、あまりにも愛のない論調にも感じる。しかし、故障者入りする5日前に松坂は遠征先のシアトルでこう語っていた。

「このユニフォームを着てプレイするからには、求められるものはひとつですから」

 求められるもの――それは結果であり、チームを勝利へと導くことだ。復帰4戦目までの松坂は0勝2敗ながら、登板した時のチームの成績は2勝2敗。決して印象は悪くなかったはずだ。それが7月2日(現地時間)のアスレチックス戦で一変してしまった。

 1回0/3を4安打、2本塁打、5失点。自己最少となる28球でノックアウトされ、その翌日、右の首の付け根から背中に広がる右僧幅筋の痛みにより故障者リスト入りとなった。

 リハビリ期間中、過酷なトレーニングでより強靭な体を作り直してきたとはいえ、真剣勝負の場に戻ればトレーニング中に出てこない体の張りが出て当然。松坂自身も、これまでとは違う痛みが出ることはある程度想定していた。しかし、今回痛めた右僧幅筋の痛みは古傷だけに、ショックも大きかっただろう。

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