【MLB】初選出のダルビッシュと、オールスターの意外な関係とは?

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu
  • photo by AFLO

 そしてもうひとつは、『4番キャッチャー』という点です。この年、ナ・リーグの先発捕手を務めたのは、ジョニー・ベンチ。『メジャー史上最高のキャッチャー』と呼ばれるシンシナティ・レッズの主砲です。ベンチは1973年のオールスターに、4番キャッチャーとして出場。そして特大のホームランをレフトスタンドに叩き込んだのです。ちなみに当時、ベンチの年齢は25歳。ポージーと同い年です。

 アマチュア時代には大学野球界で最高の捕手に贈られる『ジョニー・ベンチ賞』を受賞し、2010年のレギュラー1年目からジャイアンツの4番キャッチャーとして活躍したポージー。56年ぶりの世界一に貢献し、新人王にも選ばれ、順風満帆なスタートを切ったかに思われました。そんな矢先、悲劇が彼を襲います。2011年5月、本塁でのクロスプレイの際に激しいタックルを受け、選手生命も失いかねないほどの重傷を負うことに。しかし今シーズン、ポージーは見事に復活。攻守で大活躍し、ファン投票ではナ・リーグ最多となる762万1370票を獲得してオールスター初出場を果たしたのです。

 ジャイアンツで一番の人気者となり、将来は『メジャー最高のキャッチャー』になる可能性を秘めているポージー。今年のオールスターでは、MVP級の活躍を期待したいところです。

 そして最後はやはり、ダルビッシュ有投手の話題に触れないわけにはいきません。現地7月5日、『34人目の男』を決める最終インターネット投票で約730万票を集め、見事オールスターに初選出されました。

 実はダルビッシュ投手にも、1973年のオールスターゲームと関連する話があるんです。当時、メイズやアーロンと並び、大きな拍手で迎えられた選手がいました。それがあの、ノーラン・ライアンだったんです。1972年、カリフォルニア(現ロサンゼルス)・エンゼルス1年目に19勝を挙げてブレイクしたライアンは、翌73年のシーズン前半だけで、なんとノーヒットノーランを2回も達成。もちろん、オールスターにも選出され、全米が注目する『希代の速球王』は、ア・リーグの5番手として初登板したのです。

 ライアンが球団社長を務めるテキサス・レンジャーズに在籍し、ライアンお気に入りのダルビッシュ投手が、同じ大舞台でどんなピッチングを見せてくれるのか。39年ぶりとなるカンザスシティでのオールスターゲームは、見どころ満載です。

プロフィール

  • 福島良一

    福島良一 (ふくしま・よしかず)

    1956年生まれ。千葉県出身。高校2年で渡米して以来、毎年現地でメジャーリーグを観戦し、中央大学卒業後、フリーのスポーツライターに。これまで日刊スポーツ、共同通信社などへの執筆や、NHKのメジャーリーグ中継の解説などで活躍。主な著書に『大リーグ物語』(講談社)、『大リーグ雑学ノート』(ダイヤモンド社)など。■ツイッター(twitter.com/YoshFukushima

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