【MLB】バレンタイン監督がほれ込んだ「驚異の新人」現る (3ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu
  • photo by Getty Images

マイク・トラウト(ロサンゼルス・エンゼルス)

 最後に今シーズンの前半戦を振り返る中で、新人マイク・トラウトを外すことはできないでしょう。2009年のドラフト1巡目でロサンゼルス・エンゼルスに入団し、昨年19歳でデビューしたスター候補生のトラウトが、今シーズン、ついに期待通りの大ブレイクを果たしました。開幕はマイナーで迎えたものの、4月28日にメジャーに昇格するやいなや、チームの雰囲気を一新するほどの大活躍を見せてくれたのです。

 トラウトが1番バッターに定着するまでのエンゼルスの成績は、6勝14敗。西地区首位のテキサス・レンジャーズに大きく離されていました。しかし、トラウトの加入と同時に大躍進。今では首位レンジャーズに4.5ゲーム差まで肉迫しています。

 トラウトの爆発力はすさまじく、5月は打率.324・5本塁打・16打点で『ア・リーグ月間最優秀新人選手』にも輝きました。さらに6月も、その勢いはさらに加速。ついに6月25日には打率を.338まで上げ、リーグトップに躍り出ました。さらにスピードも併せ持つトラウトは、現在ア・リーグトップの21盗塁をマーク。まだ20歳ながら、パワーとスピードはメジャーでも一級品です。

 それを象徴するゲームが6月22日、ロサンゼルス・ドジャースとの交流戦でした。トラウトは4回に勝ち越しの7号ホームランを放つと、6回にはランナーとして、味方のシングルヒットで一塁から長駆ホームインする快足を見せたのです。21歳未満で『10本塁打・20盗塁』をマークしたのは、1920年以降では6人目の快挙です。全米中に衝撃を与えたスーパールーキー、トラウトから今後も目が離せません。

プロフィール

  • 福島良一

    福島良一 (ふくしま・よしかず)

    1956年生まれ。千葉県出身。高校2年で渡米して以来、毎年現地でメジャーリーグを観戦し、中央大学卒業後、フリーのスポーツライターに。これまで日刊スポーツ、共同通信社などへの執筆や、NHKのメジャーリーグ中継の解説などで活躍。主な著書に『大リーグ物語』(講談社)、『大リーグ雑学ノート』(ダイヤモンド社)など。■ツイッター(twitter.com/YoshFukushima

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