【MLB】バレンタイン監督がほれ込んだ「驚異の新人」現る (2ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu
  • photo by Getty Images

メルキー・カブレラ(サンフランシスコ・ジャイアンツ)

 無名の新人ではありませんが、メルキー・カブレラも前半戦で衝撃を与えた特出すべき選手です。2005年にニューヨーク・ヤンキースでデビューし、レギュラーとして活躍。松井秀喜選手とチームメイトだったので、覚えている方も多いと思います。同じドミニカ共和国出身のロビンソン・カノーと仲が良く、当時は「将来、このふたりがヤンキースを支える」と期待されていました。

 しかし2009年オフ、アトランタ・ブレーブスの先発ハビアー・バスケスを獲得するために、カブレラはトレードでヤンキースを出されることに。さらに2010年は打率.255と大スランプに陥り、シーズン後にブレーブスを解雇されてしまいます。その後、カンザスシティ・ロイヤルズと年俸わずか125万ドル(約1億円)で契約。将来のスター候補生にとっては、屈辱のシーズンとなりました。

 でも、カブレラはそんな逆境にも負けませんでした。ロイヤルズで打率.305・18本塁打・87打点、そしてリーグ4位の201安打を残し、ロイヤルズにとって11年ぶりとなる200本安打越えをマーク。そして今シーズン、再びトレードでサンフランシスコ・ジャイアンツに移籍すると、さらに才能を開花させたのです。

 2012年、カブレラは開幕から打ちまくり、現在リーグ4位の打率.351を記録。不動の3番バッターとして、驚異的なペースでヒットを量産しています。しかも、ジャイアンツ史上最高の選手と讃えられるウィリー・メイズ以来、球団史上最速となる271打数で100安打を達成。このペースでいけば、イチロー選手並みのすごい数字を残すかもしれません。

 現役選手の中で、カブレラのバットコントロールは群を抜いていると思います。スイッチヒッターですが、特に右打席の打率は4割以上。アメリカでは、かつてナ・リーグで首位打者に8度輝いたトニー・グウィン(元サンディエゴ・パドレス)と比較されるほどです。『メルキー』の名前から、ヤンキース時代は『ミルク』というニックネームで呼ばれ、地元サンフランシスコでは『メルクマン』の愛称で絶大な人気を誇っています。オールスター投票でも、第3回中間発表時で外野手部門3位に躍り出たので、先発に選出されるかもしれません。オールスターでも、カブレラのバットコントロールをぜひ堪能してください。

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