【MLB】「ピンストライプの誇りを胸に」。ヤンキースを陰で支える3人のベテラン (2ページ目)

  • 笹田幸嗣●文 text by Sasada Koji
  • photo by REUTERS/AFLO

 主力として黄金期のチームを長く支え、通算成績も抜群の3人のベテランがいま、ヤンキースでバイプレイヤーとしてチームを陰で支えている。モチベーションやプライドを考えれば、控えで満足できるはずのない3人が喜んでそのポジションを受け入れ、チームになくてはならない存在になっている。

 これこそがピンストライプの持つ魔力、誇り、伝統なのか。ここにヤンキースの強さを感じずにはいられないのだ。さらに、ジラルディ監督の人心掌握術にも頭が下がる。

 2006年、この年からタイガースを率いて、リーグ制覇を果たしたジム・リーランド監督が、地区シリーズでヤンキースを下した際に語った言葉が印象に残っている。

「オープン戦で初めてヤンキースと戦った時のことだ。ヤンキースの選手は本当に堂々としていて、誇りを持ってフィールドに立っていた。一方、我がチームの選手はみんな下を向いているように見えた。だから選手に言ったんだ。『お前ら、あの誇り高いヤンキースの選手の立ち振る舞いを見ろ! あれが強さだ。俺たちにもできる』とね。そのヤンキースを1年目で倒すことができるなんて......」

 伝統は偉大なる先人たちだけで築き上げたものではない。継承しようとする心と力、それらが重なり合って生まれるのだ。だからこそ、松井秀喜もヤンキースには特別な思いを抱き、黒田博樹はまさに今、それを実感している。

 ガルシア、ジョーンズ、チャベス――彼らの笑顔には、ピンストライプのユニフォームを着てプレイできる"幸せと誇り"が溢れ出ている。

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