【MLB】全チームが勝率5割超え。今、ア・リーグ東地区が熱い (2ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu
  • photo by AFLO

 一方、オリオールズと首位を争うタンパベイ・レイズ(31勝23敗・1位)は、松井選手の加入で打線に厚みが出てきました。松井選手の2本のホームランは、どちらも見事なぐらい完璧だったと思います。かつての松井選手は、初球を打たずにじっくりボールを見極めるタイプでした。しかしレイズ加入後は、初球から積極的にスイングしています。それが良い結果につながっているのではないでしょうか。過去のデータを見ても、松井選手と本拠地のトロピカナ・フィールドの相性は良いので、夏場を迎える今後はさらに活躍してくれるでしょう。

 また、開幕ダッシュに失敗したヤンキース(29勝24敗・3位)とレッドソックス(28勝26敗・4位タイ)も、徐々に調子を取り戻してきたようです。この2強がア・リーグ東地区の最下位に並んだときは、どうなることかと思いました。何しろヤンキースとレッドソックスが最下位になったのは、1984年5月21日以来、実に28年ぶりの出来事でしたから。

 ヤンキースが低迷した原因は、チャンスにまったく打てなかったからです。それが如実に表れていたのが、5月21日に完封負けを喫したカンザスシティ・ロイヤルズ戦でしょう。得点圏に13度もランナーを置きながら。1本もヒットを打てませんでした。5月13日から21日までの9試合の成績を見ると、得点圏打率は1割を切る.083。デレク・ジーターがひとり気を吐くものの、アレックス・ロドリゲスやマーク・テシェイラらスター選手が極度の大不振で、まったく得点に結びつけることができませんでした。メジャー30球団中最も平均年齢の高い(31歳222日)チーム構成に批判が集まったのも、ちょうどこの時期です。

 しかも、若き剛腕マイケル・ピネダが右肩の手術でシーズンを棒に振り、守護神マリアノ・リベラも右ひざの靭帯を断裂するアクシデント。さらに中継ぎのデビッド・ロバートソンも右わき腹痛で故障者リスト入りし、ヤンキースは瀕死の状態に陥りました。それでも勝率5割をキープしているのは、本当にすごいことだと思います。惜しい敗戦が多かった黒田博樹投手も、これから勝ち星を増やしていくことでしょう。ヤンキースの追い上げも楽しみです。

 また、レッドソックスも開幕時の不運を乗り越え、ようやく巻き返してきました。シーズン前から松坂大輔投手とジョン・ラッキーという先発の柱を欠き、オークランド・アスレチックスから獲得した2009年新人王の抑え投手アンドリュー・ベイリーと、主軸のカール・クロフォードも故障者リスト入りという形で開幕。さらにその後もジャコビー・エルズベリーとライアン・スウィーニーを故障で欠き、外野陣のレギュラーが全滅するという事態となりました。ボビー・バレンタイン監督にとっては、苦難の連続です。

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