【MLB】いよいよダルビッシュとの初対決。最強打者・プホルスはここがすごい! (2ページ目)

  • ブラッド・レフトン●文 text by Brad Lefton
  • photo by Getty Images

 この鋭い洞察力を持ったプレイに、全米スポーツ専門局であるESPNは、次のようにプホルスを褒め称えた。

「本能と洞察力があらわになったプレイ。他の一塁手では考えられない素晴らしいプレイ。プホルスはノーアウト一、三塁というピンチになりそうな場面を阻止し、チームを救った。あの場面では、体を伸ばして送球を捕り、一塁でアウトをとると考えるほうが賢いかもしれません。でも彼は無難な選択を避け、リスクを負った。もし、プホルスがあのプレイでアトリーをアウトにできなければ、大量失点につながっていたかもしれません。でもプホルスは自らの感覚で、あのプレイを選択し、そしてアウトに仕留めた。これがプレイオフの醍醐味ではないか」

 カージナルスのトニー・ラルーサ監督(当時)は、このようなプホルスが試合の流れを変えるプレイをするのを、ともに過ごした11年間で何度となく目にしてきた。ラルーサは言う。

「彼がすぐれた選手であるということは、いろいろなところで常々話しています。それは走塁においても、守備においてもです。彼は、常に試合の状況を把握している。そこが彼のすごいところです。試合に対する彼の姿勢は、素晴らしいものがあります」

 そしてもうひとつは、レンジャーズとのワールドシリーズ第5戦。ラルーサ監督は、打席のプホルスに対してエンドランの指示を自ら出すことを許した。結果は、カウント0-1で高めに外れた速球を見逃し、走り出していたランナーは二塁で刺されてしまった。しかし、ラルーサ監督が選手にサインを出すことを許していたという事実は、プホルスにどれだけの信頼を置いていたかを物語っている。ラルーサはこう語った。

「どんなスポーツにも共通して言えることですが、試合の流れを感じ取っている選手には、試合を左右する決断を任せるものです。プホルスはそうした選手のひとりということです」

 ダルビッシュの投げる球にプホルスがどんなバッティングで応えるかも楽しみだが、野球に対する鋭い感覚を持つふたりの、ゲームの駆け引きそのものも見逃せない。

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