【MLB】ダルビッシュ有、ヤンキース戦を前に米国流フォームの完成度は?

  • 笹田幸嗣●文 text by Sasada Koji
  • 荒川祐史●写真 photo by Arakawa Yuji

ヤンキース戦初登板となるダルビッシュ有。ジーターやA・ロッド相手にどのような投球を見せるのか注目が集まるヤンキース戦初登板となるダルビッシュ有。ジーターやA・ロッド相手にどのような投球を見せるのか注目が集まる「今日のダルビッシュは、いい球投げていますよ」

 メジャーリーグ取材歴10年以上、少なく見積もっても1700試合以上の試合を現場で取材している記者が、彼お気に入りのiPadを手に話しかけてきた。画面には現地4月19日、ダルビッシュ有のメジャー3戦目となったタイガース戦の3回の投球が映し出されていた。

 エドウィン・ジャクソンに対し、95マイルのフォーシームを外角低めに決め見逃し三振。ブレンナン・ボーシュには79マイルのカーブで空振り三振。ミゲル・カブレラには85マイルのスライダーで中飛。ストレートがいいから、変化球も生きてくる。まさにその典型のようなピッチングだった。過去2戦と明らかに違う点、それは力を入れてもボールがぶれないことだ。強く投げた時でもしっかりコントロールできていると感じた。

 結果、6回1/3を投げて2安打、5奪三振、1失点の好投でメジャー2勝目を挙げた。四球が5個と少し多い気もするが、少しずつメジャーリーグの野球に順応してきた印象を受けた。

 ダルビッシュならば......。

 デビューから日本時代同様のピッチングを期待した方は多いと思う。ファン心理としては当然だろう。その背景には日本人メジャーリーガーの先人たちが、デビューから「日本人ここにあり!」という大活躍を見せたことも一因にあるだろう。

 1995年の野茂英雄はデビュー戦で5回、1安打、無失点、7三振のスタートを切り、前半戦の大活躍でオールスターの先発投手にまで上り詰めた。イチローに至ってはオールスター出場、首位打者、MVPにも輝き、一躍米国でもトップスターに躍り出た。このふたりが偉大であったからこそ、同様の期待をかけてしまうのは仕方のないことかもしれない。

 先日、ダルビッシュがツイッターで「あまりにも日本とアメリカが一緒だと思っている人が多いけど、実際は違いすぎる。そういう意味で黒田(博樹)さんは凄い」とつぶやき、それを伝え聞いた黒田は「こっちに来てやった者にしかわからないことがある」と、ダルビッシュを思いやった。松坂大輔も「彼の中でこうすれば大丈夫というのが出てきている。能力からすればすぐに順応すると思う」とダルビッシュにエールを送った。

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