【MLB】川崎宗則が開幕ロースター25人枠に残れる可能性は? (2ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu
  • 益田佑一●写真 photo by Masuda Yuichi

 もちろん、アピール次第でスタメンになれる可能性は残されています。1番のハートがキャンプ中の右ひざ手術で故障者リスト入りしているので、もしかしたら開幕戦は青木選手がスタメンで出場するかもしれません。オープン戦でダルビッシュ有投手と対決したときは、三塁打を含む3打数3安打3打点1盗塁と猛アピールをしました。青木選手は1番もしくは2番タイプなので、このように持ち味の俊足巧打を発揮できれば、レギュラーの座もグッと近づくでしょう。

 また、青木選手と違って『4番目の外野手』というポジションで開幕を迎えそうなのが、シカゴ・ホワイトソックスと1年契約した福留孝介選手です。今シーズン、ロビン・ベンチュラ新監督は、センターのアレハンドロ・デアザを1番、ライトのアレックス・リオスを3番、レフトのダヤン・ビシエドを7番と考えているようです。

 ただし、1番に抜擢される俊足のデアザはまだ経験不足で、元オールスター選手のリオスも昨年は自己最低打率.227に終わり、ビシエドも昨年8月にデビューしたばかり。いずれもシーズンを通して活躍できるか不安は否めません。よって、3人の誰かがケガや不調になれば、福留選手は1番でも3番でも7番でも適応したバッティングができる選手なので、レギュラーの座を奪うことも十分に可能でしょう。

 またベンチュラ監督は、福留選手のことを「いい左バッターなので強力な右腕と対戦するときも期待できる」とコメントしており、相手の先発が右ピッチャーの場合、福留選手がスタメン起用される可能性は高いのではないでしょうか。事実、ア・リーグ中地区は、他の地区と比べて圧倒的に右の先発投手が多いんです。デトロイト・タイガースのジャスティン・バーランダーをはじめ、強力な先発右腕との対戦が多いので、福留選手の出場機会は決して少なくはないでしょう。

 しかも福留選手には、同じ都市のライバル、シカゴ・カブスで4年間プレイした実績もあります。強風で有名なシカゴで外野を守っていたという経験は、福留選手にとって大きなメリットです。4番目の外野手ではありますが、メジャー5年目の福留選手は準レギュラーと言っていいでしょう。

 一方、メジャー2年目となるミネソタ・ツインズの西岡剛選手は、残念ながらマイナー降格となってしまいました。今年、ツインズはロサンゼルス・ドジャースからベテランのジェイミー・キャロルという内野手を獲得。昨年わずか68試合の出場で打率.226と低迷し、ショートの守備で10個(60試合)もエラーして期待を裏切った西岡選手は、控え選手という扱いでのキャンプインとなりました。しかし、ベンチコーチのスコット・ウルガーも「全体的にアジャスト(適応)していない。西岡はメジャーでプレイするには学ぶべきことがたくさんある」とコメントするなど、マイナーで経験を積ませることも示唆していました。そして結果、チームは西岡に3A行きを通告。川崎選手と同じくユーティリティ内野手としての存在をアピールしていたのですが、非常に残念です。

 ただ、27歳という若さを考えると、今のうちにマイナーで経験を積むことも大事だと思います。特にツインズは守りを重視する野球スタイルなので、そこを徹底的に鍛えないと、レギュラーの座を奪い取るのは厳しいでしょう。西岡選手はまだ若いので、早く経験を積んでメジャーに戻ってくることを期待しています。

プロフィール

  • 福島良一

    福島良一 (ふくしま・よしかず)

    1956年生まれ。千葉県出身。高校2年で渡米して以来、毎年現地でメジャーリーグを観戦し、中央大学卒業後、フリーのスポーツライターに。これまで日刊スポーツ、共同通信社などへの執筆や、NHKのメジャーリーグ中継の解説などで活躍。主な著書に『大リーグ物語』(講談社)、『大リーグ雑学ノート』(ダイヤモンド社)など。■ツイッター(twitter.com/YoshFukushima

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