【MLB】米国永住権のない松井秀喜にとって険しいメジャーへの道のり

  • 笹田幸嗣●文 text by Sasada Koji
  • photo by Thomas Anderson/AFLO

すでにメジャーキャンプは始まっているが、いまだ移籍先の見つからない松井秀喜すでにメジャーキャンプは始まっているが、いまだ移籍先の見つからない松井秀喜 2月22日、今季の所属先が決まっていない松井秀喜が成田空港から渡米した。25日前後から続々と各球団の野手組キャンプが始まる状況からすれば、「松井にオファーか?」と考えたくなる方も多いと思うが、残念ながらいまだ吉報は届いていない。とりあえずの渡米。これが現状だ。

 今年は実績十分ながら未契約のベテラン選手が多い。37歳の松井の他にも、ジョニー・デーモン(38歳)、ウラジミール・ゲレーロ(38歳)、マグリオ・オルドネス(38歳)。また、エンゼルスがトレードに出したがっているボビー・アブレイユ(37歳)も立場は似たようなものだ。彼ら5人に共通しているのは、高齢の指名打者であるということ。近年、指名打者というポジションがレギュラー野手の休養の場となってから、指名打者専任、しかも高齢選手の居場所が極端に減ってしまった。今季、新たに契約を結び、指名打者専任の仕事をもらえたのはレッドソックスのデイビット・オルティス(36歳)のみ。数年前までのことを考えれば、信じられないマーケットの推移だ。

 未契約選手に話を戻そう。彼らは高齢の指名打者ではあるが、実力はまだメジャーの各球団も認めている。しかし、彼らはメジャー契約にこだわり過ぎた。これまで残してきた実績とプライドを考えれば、当然のことではあるのだが、もし最初から低年俸や招待選手を受け入れていれば、この時期に就活をする必要はなかった。代理人をはじめとした"読み違い"が生んだ悲劇ともいえる。

 ならば、今からでも招待選手としてキャンプに参加できないものか。しかし、チーム編成が終わったこの時期に、彼らのような選手を招待選手として呼ぶ可能性は低いと考えるのが自然だ。それはなぜか? 出場機会、チャンスである。

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