【MLB】ダルビッシュが挑むア・リーグ屈指のバッターたち (2ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu
  • 益田佑一●写真 photo by Masuda Yuichi

 同じく西地区で外せないのが、今オフにセントルイス・カージナルスからロサンゼルス・エンゼルスに10年総額2億5400万ドル(約197億円)でFA移籍した、アルバート・プホルスでしょう。デビューした2001年以降、メジャーで最も多い445本のホームランを放ち、現役ピッチャーへのアンケートで『最も恐ろしいバッター』の第1位に選ばれた現役最高のスラッガーです。しかもプホルスは、フォアボールと三振の比率が驚異的なんです。一流バッターの比率は1:1ぐらいですが、プホルスは通算でフォアボール975個に対し、三振はわずか704個しか喫していません。

 また、通算長打率.617は、ベーブ・ルース、テッド・ウィリアムズ、ルー・ゲーリッグに次ぐ歴代4位。通算OPS(出塁率+長打率)も1.037で歴代6位(ともに5000打席以上)。メジャー100年以上の歴史でもトップクラスの数字を残しているので、将来の殿堂入りは確実です。そんな超一流バッターをダルビッシュ投手がどうねじ伏せるのか、現地アメリカでは『最も見たい対戦』と早くも言われています。プホルスは現役最高の『ファストボールヒッター』と呼ばれており、ストレートに絶対の自信を持っています。ダルビッシュ投手のストレートが通用するのか、それともプホルスがそれを粉砕するのか、レンジャーズとエンゼンスはシーズンの最後まで接戦を演じるはずなので、この対戦が西地区の優勝争いを左右するといっても過言ではないでしょう。

 一方、ア・リーグのチャンピオン候補が顔を揃える東地区では、ニューヨーク・ヤンキースのデレク・ジーターとの対戦が見ものです。名門ヤンキース一筋17年、昨年は球団初の3000本安打を達成し、『キャプテン・クラッチ』の異名どおり、ジーターはとにかく勝負強い選手。内角のボールをライト方向に打ち返すのが抜群にうまく、メジャー最高の『オポジットフィールドヒッター』と呼ばれています。オポジットフィールドヒッターとは、右打者ならライト、左打者ならレフト方向に打つ技術に長けた選手を指し、右打者のジーターがライトに打ったときの通算打率は、なんと.451。これは驚異的な数字です。

 ダルビッシュ投手は2009年のWBC準決勝でジーターと対戦しています。9回表にリリーフで登板し、そのときはショートゴロに打ち取りました。ジーターはゴロも多い選手ですので、内角勝負でどちらが勝つのか、その点も非常に興味をそそられます。

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