【MLB】松井秀喜の新天地はヤンキースではなくレイズ!? (2ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu
  • photo by AFLO

 今、アメリカではメジャーリーグ全30チームの総合力を比較する『パワーランキング』が話題となっていますが、今年、アメリカのスポーツ専門局『ESPN』の野球解説者バスター・オルニーは、レイズを1位にランキングしました。若手選手、あるいは新戦力の台頭が1位と評価された理由なのですが、ただ唯一、打線の弱さが欠点と言われています。今オフのレイズの最重要課題は、昨年リーグ13位だったチーム打率.244を立て直すことです。しかし今のところ、チーム補強は投手陣のブルペン強化ばかりで、まだ打線の強化は図れていません。26歳の若き主砲エバン・ロンゴリア(打率.244・本塁打31・打点99)や、スイッチヒッターのベン・ゾブリスト(打率.269・本塁打20・打点91)に続く援護砲が欲しいところでしょう。

 昨年、主にDHを務めたデイモンは、前述のとおり今オフにFAとなりました。再契約したいのですが、デイモンの昨年の年俸は525万ドル(約4億円)。しかも代理人があの有名なスコット・ボラスなので、相当の金額を要求されるのは間違いなく、交渉難航が予想されます。昨年の暮れにはヤンキースからFAとなったホルヘ・ポサダ(打率.235・本塁打14・打点44)を獲得するかもと地元新聞が報じましたが、どうやらポサダは引退の意思を固めたようです。万が一、引退しなくとも、昨年の年俸1310万ドル(約10億円)からの大幅ダウンを飲んでレイズに来るかといえば疑問。となると、昨年の年俸が425万ドル(約3億2000万円)で、かつ『銭闘』を嫌う松井選手なら、昨年メジャー29位の年俸総額(約4200万ドル)で、チーム予算に限りのあるレイズにとっても、契約するチャンスは大いにあると思います。

 また、レイズは人気がないので、伝統ある元ヤンキースや元レッドソックスのベテランスター選手をDHとして迎える傾向があり、昨年獲ったマニー・ラミレスとジョニー・デイモンもそうですし、実現しませんでしたが過去にはジェイソン・ジアンビやゲイリー・シェフィールドを獲りにいったこともあります。レイズが松井選手を欲しがる理由は、この点にもあると思います。

 さらに松井選手は、レイズの本拠地トロピカーナ・フィールドとの相性がいい。通算成績は打率.297・10本塁打・43打点と、他球場と比べても良い数字を残しています。また、レイズのジョー・マドン監督も松井選手を以前から高く評価。松井選手のことを「ワンダフル・プロフェッショナル」「クラッチヒッター」「グッドマン」と絶賛しているのです。レイズへの移籍は、実にいい条件がそろっているのではないでしょうか。

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