「前田ってこんなもの?」とはもう言わせない。大阪桐蔭・前田悠伍が誓う自己採点50以下からの逆襲

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

Sportiva注目若手アスリート「2023年の顏」
第14回:前田悠伍(高校野球)/インタビュー前編

 2023年にさらなる飛躍が期待される若手アスリートたち。どんなパフォーマンスで魅了してくれるのか。スポルティーバが注目する選手として紹介する。

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 高校球児にとって流れる時間は早い。一昨年の秋、彗星の如く高校球界に名を轟かせたスーパー1年生は、世代ナンバーワン投手の称号を背負い、高校ラストイヤーを迎える。大阪桐蔭・前田悠伍──。昨年秋の大阪大会、近畿大会、神宮大会を制覇。しかし、エースとして、キャプテンとしてチームを率いた戦いの裏で、前田は人知れず苦悩を味わっていた。

昨年秋、大阪大会、近畿大会、神宮大会を制した大阪桐蔭のエース・前田悠伍昨年秋、大阪大会、近畿大会、神宮大会を制した大阪桐蔭のエース・前田悠伍この記事に関連する写真を見る

【課題は真っすぐのレベルアップ】

── 昨秋を振り返るとチームの公式戦15試合中12試合に投げ(先発11)3完封含め、防御率1.13。奪三振も投球回数の88回を大きく上回る102回。文句なしの数字に見えるが、試合によってかなり内容に差がありました。

前田 自分的には、全然ダメでした。

── とくに近畿大会序盤はかなり苦しい内容でした。最後に持ち直し、完封で締めた決勝戦(報徳学園)の試合後、「前の2試合を見て『前田ってこんなものか?』と思っている人もいると思うけど......」と向けると、「たぶんそう思われているだろうなと。そこはちょっと腹が立つんですけど、見とけよと思って投げました」と。

前田 言いましたね。視線というか、自分でも納得いかない投球が続いていたので、「伸びてないな」みたいに見られているだろうなと。だから今も、春はもっと違う姿を見せてやると思ってやっています。

── 秋以降のテーマは?

前田 左打者へのインコースの真っすぐをとくに磨いていきたい。右のインコースに比べたらまだまだ強さがないし、甘く入ることもあるので。強さやしっかりラインを出せるように取り組んでいます。

── 基本は真っすぐのレベルアップ?

前田 そうですね、そこにかかっています。狙っても打たれない真っすぐ、空振りがとれる真っすぐを、1年前のこの時期もテーマに掲げてやっていたんですけど、そこをもう一度見つめ直してやっています。

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