北の快腕トリオ、152キロ右腕、柳田悠岐2世...地方大会で敗れ去ったプロ注目の逸材たち

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Nikkan sports

甲子園に戻れなかった逸材たち

 甲子園出場経験者のなかにも、今夏に見られないのが惜しい人材がいる。

 2年時から2年連続春のセンバツを経験した速球派右腕の米田天翼(市和歌山)。今春のセンバツで花巻東・佐々木のインコースを剛速球で突き、高校野球の洗礼を浴びせた姿はインパクト抜群だった。だが、今夏は和歌山大会準々決勝で同じくセンバツ出場組のくせ者軍団・和歌山東に0対3で敗れた。とはいえ、米田は自己最速の150キロを計測し、今秋のドラフトに向けてプロ志望届を提出する予定だ。

 昨年春のセンバツで、故障したエースの穴を埋めて話題になった鈴木泰成(東海大菅生)は、西東京大会決勝で宿敵・日大三に2対6で敗れた。2年春以降は右ヒジ痛に悩まされ手術も経験したが、高校最後の夏は140キロ台後半の速球で復活をアピールしている。高校卒業後は強豪大学に進み、「4年後のドラフト1位」を目指す。

 昨夏はタフさと馬力を武器に徳島大会をひとりで投げ抜き、甲子園でも存在感を放った森山暁生(阿南光)。昨夏の甲子園敗退後、記者から「森山くんは来年もありますが」と問われると、「2年夏の甲子園も一度しかありません」と返す芯の強さが印象的だった。今夏は鳴門渦潮と初戦で対決し、投手戦の末に0対1で敗退。高校最後の夏に甲子園に戻ってくることはかなわなかった。

 昨秋の九州大会で準優勝と躍進し、「離島の奇跡」で今春センバツに出場した大島。細身ながら最速146キロをマークする左腕エース・大野稼頭央は、鹿児島大会でチームを決勝へと導いた。鹿児島実との決勝も緩急をうまく使って熱投を見せたものの、2対3と夏の甲子園まであと一歩及ばなかった。

 今春以降に急激に評価を高めていた右腕の茨木秀俊(帝京長岡)、安西叶翔(常葉大菊川)も地方大会で敗れた。茨木はバランスのよいしなやかな投球フォームで、高い将来性を感じさせる。惨敗に終わった春季大会から状態を高め、今夏の新潟大会では決勝進出の原動力に。決勝では同じくドラフト候補の田中晴也(日本文理)と互角の投げ合いを演じ、延長11回の投手戦の末に1対2で力尽きた。

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