大阪桐蔭・星子天真と履正社・小西柚生は同郷で元日本代表チームメイト。両主将はなぜ熊本から「大阪2強」に来たのか (3ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • photo by Kyodo News,Tanigami Shiro

 ふたりとも公式戦の出場は昨年秋の新チームからで、同時にキャプテンとなる。大阪桐蔭は旧チームから主力として出場していたドラフト候補の松尾汐恩も主将候補だったが、入学時から光っていた星子のリーダーシップに、誰もが納得での決定となった。

 小西は中学時代に初めてキャプテンを経験するも、高校ではやるつもりがなかった。しかし、2年になった頃から徐々にチームをまとめてみたいと思うようになったという。そこへ岡田から「新チームになったらキャプテンをやってみるか」と打診され快諾した。

これまでの対決は星子に軍配

 星子はキャプテンになると同時にセカンドのレギュラーとなり、西谷浩一監督も全幅の信頼を寄せる選手となった。チームは昨年の大阪大会、近畿大会、神宮大会、さらに今春のセンバツも制覇。星子キャプテンのもと、小西の当初の予想どおり、大阪桐蔭は各大会を勝ち進んだ。

 一方の小西は、秋は背番号13、春は15をつけて戦い、チームは昨年秋の大阪大会が3位、近畿大会初戦敗退、春の大阪大会は決勝で大阪桐蔭に敗れた。小西は同郷のライバルの活躍をまぶしく見つめつつ、チームとして負けるわけにはいかないと決意を新たにした。

 そのなかで自分に何ができるのかを考え、磨いたのが足だった。中学時代、平日は陸上部で活動し、専門は100m。今のチームNo.1のスピードを誇る。

 そこへ新監督の多田はチームのテーマに「走塁のレベルアップ」を掲げ、積極的に走塁練習を取り入れた。その結果、走塁にこだわるチームへと変わっていった。

 春の大阪大会決勝の大阪桐蔭戦で、小西は本領発揮。2対2の8回に代走で出場すると、すかさず二盗に成功。けん制技術の高い左腕の前田悠伍と強肩捕手の松尾とのバッテリー相手に、小西は迷いなくスタートを切った。このシーンについて尋ねると、小西の顔が一気に引き締まった。

「大阪桐蔭バッテリーは全国トップレベル。そこからいかに盗塁を決められるか。大事な試合で決められないと意味がないと思ってやってきました。あの盗塁はその成果。夏は相手チームから警戒されると思いますけど、そこを掻い潜って攻めていきたい」

3 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る