大学野球選手権で評価が上昇、ドラフト上位候補の投手3人。敵将も「絶対打てない」直球に脱帽 (2ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

大学選手権では3試合に登板し防御率0.59と抜群の安定感を見せた上武大・加藤泰靖大学選手権では3試合に登板し防御率0.59と抜群の安定感を見せた上武大・加藤泰靖この記事に関連する写真を見る

本格派右腕が見せた新たな一面

加藤泰靖(上武大/184センチ86キロ/右投右打/志學館高)

 5月15日の関甲新学生リーグの優勝をかけた白鴎大との大一番。ともにドラフト上位候補に挙がる左腕・曽谷龍平との投げ合いでは、力強いストレートを披露。大学選手権でも同様の姿が見られるかと思いきや、意外な幕開けになった。

 東農大北海道との初戦に登板した加藤は、立ち上がりからカーブ、スライダー、カットボール、フォークの変化球を主体に組み立てる。時折投じるストレートはこの日は最速144キロとおとなしめながら、捕手のミットを「ズドッ!」と強く叩く球威があった。

 試合後に投球の組み立てについて加藤に聞くと、こんな答えが返ってきた。

「自分には真っすぐピッチャーの印象があると思うんですけど、向こうもデータを分析してくるなかで、裏をかくために変化球中心でいきました」

 この日は5回を投げ、許したヒットはわずか1本で無失点。投球数は70球だった。上武大はブルペン陣が充実しており、継投策をとる谷口英規監督の方針で5回降板となったが、加藤のスピード以外の一面を披露する結果になった。

「去年までと比べて、ピッチングの幅が広がって変化球もうまく使えたと思います」

 上武大は苦戦続きながら日替わりヒーローが現れる戦いぶりで、決勝戦まで進出。加藤は3試合15回1/3を投げ、防御率0.59と実力を示した。

 力任せではない本格派右腕は秋に向けて、プロ側からどんな評価を受けるのだろうか。

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