元巨人・大野倫が描く日本初のウインターリーグの未来図。「ゆくゆくは育成選手だけのチーム、草野球の強豪も参加させたい」 (3ページ目)

  • 松永多佳倫●文・写真 text & photo by Matsunaga Takarin

 初年度は11月24日から約1カ月にわたって、所属の異なる選手、無所属で活動している選手などの混成6チームで行なう22試合による総当たりのリーグ戦。アマチュア選手120人をHP等で募集。進路が決まっていない高校3年生や大学4年生はもちろん、社会人はオフの実戦の場を欲しているチームのニーズにマッチし、数チームから選手派遣についての問い合わせがすでにきているという。また大野は、全国強豪の草野球チームにも募集をかけていきたいと考えている。

「沖縄は草野球も盛んで、平気で145キロを投げるピッチャーがおります。全国大会に出る地方の大学のエースが卒業して草野球に情熱を傾けるんです。現役時代と同じエネルギーでジムに通って身体を鍛え、草野球をやる。燻っている気持ちを昇華させてあげたい気持ちがあります。

 僕は、巨人からダイエーへとトレードされて戦力外通告となった時に、当時2回あったトライアウトを両方とも受けました。完全にいらないと言われるまでチャンスの芽を自分で潰していったんです。『あの時こうしていれば......』という後悔の念だけはなくしたくなかった。ウィンターリーグは、そう言った区切りの場でもあるんです」

完全燃焼できる場にしたい

 鷲崎代表も同じ思いだ。

「佐賀西高では甲子園出場はなく、慶大に進むも公式戦では一度も出場機会がないまま学生生活を終えました。高校・大学の7年間は一番練習した時期でした。そういったモヤモヤを抱えながらカリフォルニアのウインターリーグに参加し、本職の二塁手として出場機会をつかみ逆方向の右中間へ本塁打を打つなど活躍することができました。独立リーグからオファーはなかったんですが、達成感を得られたと同時にしっかりと整理をつけることができました。この経験が、今回のウインターリーグ構想実現への大きな原動力になりました」

 知花副代表も訥々と語る。

「浦添商業から亜細亜大学に行き、卒業する頃にはヒジがボロボロだったけど、地元の社会人チーム・エナジックに入社。5年間プレーし、いつまでやるのかなと悶々としていたなかで、都市対抗予選でノーアウト満塁の場面で急遽登板し、三振、ゲッツー。たまたま親も見に来ていて、これで区切りができたと思いました」

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