元巨人・大野倫が描く日本初のウインターリーグの未来図。「ゆくゆくは育成選手だけのチーム、草野球の強豪も参加させたい」 (2ページ目)

  • 松永多佳倫●文・写真 text & photo by Matsunaga Takarin

 90年近くの歴史を持つNPBを頂点としての野球は、国技以上のメジャースポーツと言えるのに、なぜ今までウィンターリーグがなかったのか。

 じつはこれまでに沖縄でのウインターリーグ構想は何度もあったが、すべて暗礁に乗りあげた。そこには沖縄という独特の地域性も関係している。

 いくら資金面が足りていても、地域の協力がなければ実現できない。ましてや沖縄は横のつながりが47都道府県のなかでも一番強い。自治体の協力はもちろん、沖縄経済界だけでなく野球界の重鎮たちにも三顧の礼を持って挨拶することが重要なのだ。

 資金や球場確保よりも前に仁義をきちんと通せられるかどうか。鷲崎代表は沖縄にコネクションがまったくないなかで、浦添商業から亜細亜大学、沖縄社会人チーム・エネジックで投手として活躍し、のちに副代表を務めることになる知花真斗にたどり着き、思いの丈を述べた。

「私と会う前に鷲崎代表はコネも何もないなか、たったひとりで自治体へのアプローチをやっており、これはホンモノだと感じました」(知花副代表)

 そして、沖縄の英雄である大野をGMに立てることで、ウィンターリーグ沖縄開催の成功に向けて沖縄県内バックアップ体制を磐石としたのだ。

草野球チームも募集!?

 大野は沖縄の野球熱をうまく具現化する施策をずっと温めていた末、満を持してジャパンウインターリーグGMに就任したのだ。それもこれもお世話になった野球界に恩返しするためである。

「鷲崎代表が何度も現地の自治体や関係者のもとに足繁く通ってくれたおかげで、4球場を開催場所として契約。いずれもNPB球団がキャンプで使用している球場で、試合運営のノウハウがあり、芝の養生などの問題も十分にクリア。沖縄には、バスケットボールの琉球キングスをはじめとするプロスポーツ球団の成功例があります。ほかにもサッカーのFC琉球、ハンドボールの琉球コラソン、プロ卓球リーグの琉球アスティーダ......一番人気のスポーツの野球だけが立ち遅れていました。

 アマチュアを主眼としてトライアウトでプレー環境を用意するだけでなく、メディカルからメンタルな部分までアプローチし、参加する社会人野球の選手たちがレベルアップを図ることも望んでおります。ゆくゆくは、審判、トレーナー、データーアナリストなど野球に関わる者すべてがレベルアップするような人材育成の場を構築していかなくてはならないと思っています」

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