名門校から勧誘が続々。怪童・内藤鵬はなぜ日本航空石川を選んだのか。「どの高校に行くにしても、入ってからの自分次第」 (3ページ目)

  • 菊地高弘●文・写真 text & photo by Kikuchi Takahiro

毎日が修学旅行気分

 能登での寮生活当初は「家に帰りたい」と何度も思ったという。1年時は4人部屋で、同級生ながら気疲れもあった。さまざまな地域から生徒が集まっているため、方言に慣れるのにも時間がかかった。とくに大変だったのは洗濯だったと内藤は振り返る。

「ドロドロになったユニホームを自分で手洗いしないといけないので。とくに室内練習場のゴムチップの汚れが落ちにくいんです。最初はお母さんのありがたみをすごく感じましたね」

 高校3年目の今は、すっかり慣れて寮生活を満喫している。

「毎日が修学旅行みたいな気分で楽しいですよ。今は方言も慣れて、いろんな地域からきた子とも仲良くなれて。本当にいい経験ができていると思います」

 日本航空石川の野球部では「脱体育会」の寮改革が進み、3年生が率先して雑用をこなして下級生を助けるスタイルになった。3年生が年下のパートナーと自主練習をし、一緒に風呂に入る光景も日常的になってきた。家族以上に濃密な時間を過ごしたチームの主将として、内藤は熱い思いを語った。

「航空に来てよかったと思います。あとは、みんなと甲子園に行きたいですね」

 そして、その先には夢の世界が待っている。内藤の目標は「ドラフト1位」。そして、こんな野望を抱いている。

「しっかり恩返したいです。お父さんには『車を買ってあげる』と約束しているんです(笑)。お母さんはとくに話してないんですけど、もしプロになれたら何か買ってあげたいですね。両親にはいつも支えてもらって、感謝しかありません。今まで支えられてきた分、これからは自分が支えたいんです」

 能登の滑走路から大空へと羽ばたこうとしている鵬。どこまで高く舞い上がるのか、その旅路が楽しみでならない。

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