22歳になった元スーパー中学生。かつてのチームメイトがいるNPBの世界へ「最後まであきらめない」 (2ページ目)

  • 高木遊●文・写真 text & photo by Takagi Yu

 すると、以前は「しんどくて食事も喉が通らないほどでした」という夏場も成績が落ちることがなくなり、昨年は67試合に出場して73安打、40打点とそれぞれリーグ2位の成績を挙げるまで成長を遂げた。

 だが3年目も、濱の名前がドラフト会議で呼ばれることはなかった。「ドラフト候補」までは挙がるが、もう一歩壁を突き破れなかった。

走塁の名手から極意を伝授

 大学に進んだ同期は4年生となり、ドラフトの対象になった。高知の環境や指導には感謝していたが、「同い年の選手には負けたくない。何かを変えなければ」と移籍を決断。ルートインBCリーグから分離独立したNOLの福井に活動の場を移した。

 移籍後、劇的な変化を感じとっているのは、昨年までDeNAのスカウトとして活動し、今季からNOLのスカウト統括部長を務める武居邦生(たけすえ・くにお)氏だ。

「昨年までも、打撃はヘッドを走らせる強いスイングができていて、リストには入れていたのですが、盗塁が少なかった。でも、今年の彼を見ると『なんだ、走れるじゃん』って思いますよ(笑)」

 濱が新天地で薫陶を受けているのは、ロッテ、オリックスで監督を務めた西村徳文球団会長兼GMだ。現役時代は俊足を生かして4年連続盗塁王など、NPB通算363盗塁を果たした"走塁の名手"から極意を伝授されている。濱はこのチャンスを逃すまいと、必死に食らいついている。

「走塁面に関しては、西村さんにめちゃくちゃ聞きにいっています。盗塁については、とくにスタートの仕方ですね。去年までの僕は、ちょっと打撃がよくて、肩も強い選手。でもNPBに行くには、走攻守で絶対的なものを身につけないといけません」

 西村も貪欲に指導を請いにくる濱に惜しげもなく技術を伝えるとともに、大きな期待をかけている。

「彼のポテンシャルと取り組む姿勢は、NPBに行ってもおかしくないものを持っていると思います。あとは、何かひとつ絶対的なものをつくること。肩も強いし、打撃もいいですが、走力も高いものがあるので、私の経験を伝えています」

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