2022.05.14

2年連続ドラフト指名漏れも由規は「ポテンシャルは相当高い」。長尾光はNPB挑戦へ「3度目の正直」なるか

  • 菊地高弘●文・写真 text &photo by Kikuchi Takahiro

由規が高く評価する潜在能力

 背中を押してくれる心強い存在もいた。剛速球を武器にNPB通算32勝を挙げた由規投手兼任コーチ(元ヤクルトほか)だ。由規は長尾と同じ2021年に埼玉武蔵に入団し、今季から投手コーチを兼任している。

 長尾は由規から下半身を使うようアドバイスを受けたという。

「高校までずっと上半身で投げていたのが、由規さんに下半身で投げる使い方を教えてもらって、自分なりにコツをつかんできました。今では全身を使って投げている感覚があって、ボールも強くなってきました」

 現時点での最高球速は149キロだが、さらに伸びる気配がある。今季からリリーフとして起用されるようになり、平均球速も上がってきた。指導する由規も、長尾の潜在能力を高く評価する。

「僕は不器用なタイプでしたけど、彼はイメージどおりに体を動かせる器用なタイプでうらやましいですよ。ポテンシャルは相当高いです」

 その一方で、由規は長尾に対してこんな注文をつけた。

「器用な分、かわすピッチングになってしまうことがある。変化球でいつでもストライクをとれるのは持ち味なんですけど、『もっと自分の真っすぐに自信を持ちなさい』と伝えています」

 5月7日、上尾市民球場での茨城アストロプラネッツ戦。埼玉武蔵は一時13点の大量ビハインドを負いながらも、打線が猛反撃に転じて13対16と3点差に迫った。追い上げムードの9回表に登板した長尾だったが、2死ランナーなしから死球を与え、続く打者にはライト線を破られる適時二塁打を浴びた。打たれたのはスライダーだった。

「2ストライクと追い込んでからのデッドボールはいらなかったし、もっとストレートで勝負できないと自分の強みが出ないと思います。最近、1イニングを3人ですんなり終わらせられないので、そこは課題ですね」

 チームは13対17で敗れ、大乱戦を落とした。自分のストレートを信じること、1球ごとのムラを抑えること、1イニングを打者3人で仕留めること。課題は山積みだ。だが、独立リーグはそんな未熟な選手に成長の機会を与えてくれる場所なのだ。埼玉武蔵の角晃多監督は言う。