2年連続ドラフト指名漏れも由規は「ポテンシャルは相当高い」。長尾光はNPB挑戦へ「3度目の正直」なるか

  • 菊地高弘●文・写真 text &photo by Kikuchi Takahiro

 2年連続でのドラフト指名漏れを経て、臨んでいる今季。率直な心境を聞くと、長尾光はポツリとこう漏らした。

「3度目の正直......ですね」

 今年8月で20歳を迎える長尾は、BCリーグ・埼玉武蔵ヒートベアーズに所属する本格派右腕だ。身長180センチ、体重81キロの均整の取れた体躯で、最速149キロの快速球と落差の大きなフォークを武器にする。

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高校時代は独自大会優勝に貢献

 ノースアジア大明桜高(秋田)に在学した2020年は、NPB2球団から調査書が届いたものの指名なし。1年でも早くNPBに進むため埼玉武蔵ヒートベアーズに入団した昨季は、3球団の調査書に記入したがまたも吉報は届かなかった。

 高校の1学年後輩である風間球打はドラフト1位指名を受け、ソフトバンクに入団している。対照的に長尾は2年連続の指名漏れ。華々しくスポットライトを浴びる後輩を尻目に、さぞ屈辱を噛み締めたのではないか。そう聞くと、長尾はあっけらかんとこう答えた。

「そういうの、なんとも思わないんですよね」

 断っておくが、風間との仲はよかったという。それでも、周りから比べられようが、人は人で自分は自分。長尾にはそんな投手らしいメンタリティが備わっている。

 コロナに甲子園を奪われた世代だった。パンデミックの影響で夏の甲子園が中止になるなか、ノースアジア大明桜は秋田県の独自大会で優勝に貢献。甲子園で満天下に実力をアピールしてドラフト指名を勝ちとる選手も珍しくないだけに、「もし甲子園があれば......」と思っても不思議ではない。だが、長尾にそんな湿っぽい感情はなかった。

「あの時の自分の実力では、甲子園があってもいい投球ができた確信はなかったので。ドラフトで指名がなかったのも、仕方ないと受け入れています」

 高校時代の自分を「変化球ピッチャーみたいだった」と振り返る。NPBに進むためにはストレートが弱い。そう考えた長尾は、高校3年時点で最速145キロだったストレートを磨こうと決意する。

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