かつて「鬼」と恐れられた大垣日大の阪口慶三監督。今も闘志は健在だが、「厳しいだけじゃなくなった」

  • 元永知宏●取材・文 text by Motonaga Tomohiro
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

 3月27日の2回戦。星稜(石川)との一戦では序盤にリードを許した。9回に1点を返したものの、2-6で敗れた。阪口監督の甲子園通算40勝は夏に持ち越されることになった。5月に78歳になるが、闘志はまだ衰えない。

 教え子は言う。

「大きく変わったのは、厳しさだけじゃなくなったところ。高校野球にかける情熱は昔のまま。勝負勘みたいなものはいまもすごいと思う」

 2018年の夏の甲子園で、大垣日大が金足農業(秋田)に敗れた試合の前のシートノックが思い出される。阪口監督は選手たちを慈しむように、孫の頭を撫でるように、優しい打球を打っていた。内野ノックを打ち終わったあとにブルペンまで小走りで行き、ピッチャーに声をかける――かつて鬼と呼ばれた監督の進化した姿があった。

 阪口監督は星稜との試合後にこう語った。 

「内外野の守備を夏までに鍛えあげて、甲子園に戻ってくる」

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