國學院久我山の監督が語る、甲子園で勝ち抜くチームのつくり方「そこそこできたらOKと思えるようになった」 (3ページ目)

  • 元永知宏●取材・文 text by Motonaga Tomohiro
  • photo by Sankei Visual

 難関大学への進学率が高い中高一貫の進学校である國學院久我山には、練習時間の制限がある。18時30分には学校の敷地から出なければならない。平日の放課後に練習できる時間は2時間半か3時間程度だ。

「3時間の練習でも、ストロングポイントを磨くことはできます」

 グラウンドはほかの運動部との共用だ。そういう環境だからこそ、さらなる工夫が必要だと尾崎監督は思っている。

「グラウンドをいっぱいに使ったシートノックはできません。いくつかに区切って、ここではハーフバッティング、ここではティーバッティング、ここでは守備の基礎練習、ここではピッチャーのけん制球の練習というふうに、いろいろなことをうまく組み合わせてやっています。他校の野球部の人が見れば『グラウンドが狭くて大変だね』と思うかもしれませんが、15年以上もこのグラウンドにいる僕からすれば、まだまだ使えるスペースがあります」

ひとりひとりが武器を磨けば強くなる

 一日わずか3時間の練習で甲子園にたどりついた國學院久我山。野球と勉強の両立を目指す部員たちを成長させるために、尾崎監督はどんなことを心がけているのか。

「自分自身のことをよく理解していて、パフォーマンスの出し方を知っている人たちは大学や社会人に進んでも活躍してますよね。自分で考える力、自分で感じる力をつけること、多くの知識に触れさせてあげることが指導者として大事なことだと僕は考えています。

 だから、『これをやれ!』というのではなくて、いろいろなやり方を見せて、さまざまなものに触れさせて、その中から自分に合ったものを吸収してほしい。同時に、『チームとしてはこう戦う』と示すことが指導者の役割だと思います」

 尾崎監督は「ムダは嫌いだ」と言うが、まわり道の効能もわかっている。

「ムダなことも、たまには必要なのかもしれない。だから、最初から『これはムダだとは言うな』と言っています。やってみて初めて、ムダかどうかがわかるから。効率よくやるのと、嫌いなことをやらないというのは違うよと」

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