2022.03.21

「まだプロはあきらめていません」。オーバー24、ドラフト戦線を賑わす社会人の実力者たち

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

昨年のドラフトで指名漏れを経験した東芝・吉村貢司郎昨年のドラフトで指名漏れを経験した東芝・吉村貢司郎 この記事に関連する写真を見る 「船迫はすごいボールを投げますし、三振だってイニング数と同じかそれ以上に取ります。でも、社会人の主戦としては『すごいボール』より『チームを勝ちに導けるピッチング』が求められます。船迫には大事な試合で長いイニングを投げて、誰もが認めるエースになってもらいたい。投げるボールは言うことなしですから」

 快投を見せた都市対抗にしても、右足ふくらはぎがつるアクシデントのため5回でマウンドを降りている。船迫も当然、佐伯監督の思いを受け取っている。

「常に全力で投げてしまっていたので、要所以外は8〜9割の力でキレのある球を意識しています。これからもっとチームを勝たせられるピッチャーになりたいです」

昨秋ドラフトでよもやの指名漏れ

 昨年のドラフト会議で指名漏れだった社会人選手のなかで、もっとも今年のドラフト指名が有力視されるのは吉村貢司郎(東芝/24歳)である。國學院大出身で入社3年目を迎える本格派右腕だ。

 最速153キロの快速球に、三振を奪えるフォーク、速球の軌道から小さく曲がるカットボールを武器にする。昨年9月の都市対抗西関東予選では宿敵・ENEOS戦で10三振を奪い、1対0の完封勝利を飾り話題になった。

 当然、昨年もドラフト候補に挙がっていたが、よもやの指名漏れ。だが、吉村はその結果を「自分が選ぶ立場ではないので」と割り切っていた。

「去年は調子の波があったので、『なんで指名がなかったのか?』とは思いませんでした。まだまだ成長できる部分はあるなと」

 3月6日から開催された今季最初の公式戦となる東京スポニチ大会では、3試合に登板して17イニングを投げ優勝に貢献。JR九州との決勝戦では完封勝利を挙げてMVPに輝いた。だが、吉村は優勝直後とは思えないほど平静なテンションで会見場に現れた。

「うれしい気持ちはあるんですけど、ここからまたスタートなので」

 東芝の平馬淳監督は「去年の秋から継続していいので、今年こそエースとして活躍してもらいたい」と吉村への期待を語った。年間通して東芝のエースとして投げ抜いたその先に、新たな扉が開くはずだ。