2022.03.05

元高校球児、渡部おにぎりがベンチから見届けた「まさか」のラストゲーム。今は芸人として「全国区」を目指す

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • 村上庄吾●写真 photo by Murakami Shogo

元武相高校野球部
金の国・渡部おにぎりインタビュー 後編

(前編:先輩、ヤクルト塩見泰隆らとの野球部生活>>)

 武相高校時代、1学年上の塩見泰隆(ヤクルト)と中軸を組み、井口和朋(日本ハム)とバッテリーを組む強打の捕手だった若手芸人・渡部おにぎり(金の国)。インタビュー後編では、「まさか」の展開になった高校最後の夏、その後の人生について語った。

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「高校最後の夏」について触れると、渡部おにぎりはこの日初めて顔を曇らせた。

「あれは人生のなかで忘れることのない出来事でした」

 2012年7月12日。武相は神奈川大会1回戦で敗退している。初戦から強豪・日大藤沢と激突するくじ運の悪さもあったが、何よりも熱戦に突如幕を下ろすラストシーンが物議を醸した。

 この試合、渡部は4番・捕手でスタメン出場し、4打数2安打と活躍している。だが、最後はベンチでチームの敗退を見届けた。直前の9回表の攻撃で代走を送られ、途中交代していたからだ。

「ウチは1-2で負けていたんですけど、9回表に僕がヒットで出塁して。なんとしても追いつくために代走が出て、なんとか2-2の同点になったんです」

 9回裏の守備には、2年生の控え捕手が渡部の代わりにマスクをかぶった。そして、問題のシーンが訪れる。

 一死満塁の一打サヨナラのピンチ。打者が高い内野フライを打ち上げた。その瞬間、審判団は「インフィールドフライ」を宣告。フライはショートが捕球し、この時点で2アウトになった。

 ここで武相の内野陣がマウンドに集まった。投手がランナーに背を向けて打ち合わせをしていると、一塁側スタンドから歓声が上がった。三塁ランナーがスルスルと飛び出し、本塁を陥れたのだ。インフィールドフライはボールインプレー。つまり、タッチアップによるホームインが成立する。

 球審がセーフのコールをし、試合終了を告げる。武相の選手たちはパニックに陥った。武相サイドの「タイムを取った」との抗議を受け、審判団は長い協議に入った。