高校通算44本塁打の両打ちスラッガー、中日・根尾の元チームメイト...2022年のドラフト戦線を賑わす12人

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

 約10カ月先のドラフト戦線を予想するのは至難の業だ。

 2021年ドラフト会議で4球団から重複1位指名を受けた隅田知一郎(西日本工業大→西武1位)にしても、昨秋時点ではドラフト上位候補のひとりにすぎなかった。一方、秋の段階でスカウト陣の評価が高い選手でも、春になって大きく評価を落とすケースも珍しくない。

 わずかな期間で評価が乱高下する。それがアマチュア野球ならではの不安定さであり、醍醐味でもある。

 現時点では、2022年のドラフト会議の目玉になる大看板は見当たらない。それでも、今後ドラフト1位候補になりうる逸材をカテゴリー別に紹介していこう。

昨年夏の甲子園に出場し、投打で活躍した近江の山田陽翔昨年夏の甲子園に出場し、投打で活躍した近江の山田陽翔この記事に関連する写真を見る

【近畿地方に有望選手が集結】

 高校生では、野球どころ・近畿地方に今年も有望選手が目立つ。なかでも森下瑠大(京都国際)山田陽翔(近江)はひと冬越えての進化が期待できる選手だ。

 森下は2021年に2年生エースとして甲子園春夏連続出場を経験。とくに夏はベスト4進出の立役者になった。ストレートの球速は最速143キロながら、重力に逆らうように捕手のミットを突き上げる好球質。カットボール、スローカーブ、チェンジアップなどの変化球の精度、コントロールもよく、先発タイプの左腕という希少性もある。平均球速が上がってくれば、ドラフト1位候補に浮上する可能性は高い。

 山田も2021年夏の甲子園で中心投手としてベスト4を経験。だが、投手としては右ヒジ疲労骨折を負うなど、派手なアピールができたわけではない。むしろ夏の甲子園や秋の近畿大会で本塁打を放った打撃力が目を引いた。打席で悠然と構える姿は中田翔(巨人)を彷彿とさせる。右の強打者はプロでも希少だけに、スカウト陣の徹底マークは続くだろう。ただし、本人は強烈な投手志向を秘めている。ヒジの癒えた今春以降に見違えるような姿で、評価を一変させられるだろうか。

 京都国際も近江も昨秋の近畿大会ベスト8で敗退しており、今春の選抜高校野球大会(センバツ)への出場は約束された立場ではない。とはいえ、大阪桐蔭が明治神宮大会で優勝して神宮枠がもたらされ、近畿地区の出場枠は7に拡大された。両校とも出場となれば、センバツの目玉選手になりそうだ。

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