プロスカウトが熱視線。都市対抗を沸かせた2022年のドラフト候補たち (3ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Ohtomo Yoshihiro

 力感がなく、角度のあるフォームから最速150キロの快速球を投げ下ろし、カットボールやフォークなど高速帯の変化球も駆使して安定感を手に入れつつある。2回戦のNTT西日本戦では4回3失点で降板ともろさも見せたものの、来年は有力なドラフト候補に挙がりそうだ。

 ENEOSでは先発右腕の関根智輝、リリーフ左腕の加藤三範と二人の大卒ルーキーが成長を見せつけた。

 関根は慶應義塾大時代にトミー・ジョン手術を受けた影響もあって、大学4年時にはドラフト指名漏れに終わっている。だが、社会人では1年目から先発陣の柱として活躍。都市対抗では初戦のJR東海戦で6回無四球無失点の好投を見せた。

 自分の最大の武器として「真っすぐの強さ」を挙げる。都市対抗ではきれいなバックスピンのストレートと、シュート回転の強いストレートが混在した。関根本人に聞くと、「僕の場合はナチュラルで変化します」と語った。

「きれいな回転は目指していないので、シュートすることはあまり気にしないようにしています。強く、浮き上がるボールを目指していきたいです」

 加藤も筑波大時代に左ヒジの手術を経験し、社会人で復調してきた。都市対抗では初戦のJR東海戦で関根の後を継ぎ、3回6奪三振無失点と快投。とくに最速145キロのストレートは球速表示以上のキレを感じさせた。

 ENEOSは準々決勝で東京ガスに逆転負け。先発しながら4回に崩れ、敗戦投手になった関根について大久保秀昭監督はこう語っている。

「ピンチで粘れるようになれば、すごいピッチャーになれる。そこは加藤を含めて、期待を持っています」

 指揮官の期待に応えられるようになれば、関根と加藤の価値もますます高まっていくだろう。

 野手陣はややアピールに欠けたものの、強烈な存在感を放ったのは平良竜哉(NTT西日本)だ。身長170センチ、体重78キロとずんぐりとした体型ながら、たったひと振りのフルスイングでスタンド中の注目を集める大卒ルーキー。九州共立大時代も大学通算16本塁打のスラッガーとしてドラフト候補に挙がったが、「3位以内の指名でなければ社会人に進む」という順位縛りがあり、近畿地区の強豪社会人チームに進んでいる。

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