プロスカウトが熱視線。都市対抗を沸かせた2022年のドラフト候補たち (2ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Ohtomo Yoshihiro

 東京ガスでは当初はリリーフ中心に起用されていたが、都市対抗前のオープン戦で急成長をアピール。山口太輔監督から「新人でも強い真っすぐを投げられる。立ち上がりを乗り越えればいける」と評価され、初戦の先発という大役を任された。

 ただし、ENEOSとの準々決勝では左脇腹の違和感が出て、わずか1球で降板。チームは3年ぶりの都市対抗出場で優勝と躍進したものの、益田個人としては不完全燃焼に終わった。来季は名門の中心投手として、年間通して活躍できるかがプロ入りへのカギになりそうだ。

 前評判どおりの実力を発揮できなかったのは、片山皓心(ひろみ/Honda)だ。捕手のミットを力強く押す重量感のある速球を武器に、完投能力の高さが光る。桐蔭横浜大4年秋から本格化してきた、遅咲きのサウスポーである。

 昨年の都市対抗優勝チームであるHondaに入社後は、春先からエース格に君臨し続けた。日本選手権ではパナソニック、日本生命から2ケタ三振を奪って完投勝利を収めるなど、ベスト4進出に貢献。だが、昨秋の大学時からのフル稼働がたたったのか、夏場以降に状態を落とした。都市対抗では先発起用されたものの、本来の球威はなく3回1失点で早期降板。チームも初戦で敗退している。試合後、片山はこう総括した。

「これが今の実力なのかな、という思いはあります。誰が見ても、明らかに7月までよりよくないなか、状態を高められなかったところに自分の弱さを感じました。社会人野球はシーズンが長いので、調子の波をなくしていかなければならない、来年以降に克服しなければいけない課題だと思います」

 一方、開幕戦でHondaを破る金星の立役者になった、JR東日本東北の新人右腕・竹本祐瑛(ひろあき)の投球も印象的だった。駒澤大時代から高いポテンシャルを秘めた身長186センチ、体重93キロの大型右腕だが、東都大学リーグ通算5勝15敗と結果が伴わなかった。だが、社会人では「春先からずっとよかった」と西村亮監督から信頼を得て、エース格として活躍している。

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