甲子園を沸かせた巨漢投手がついに本格化。195センチからの速球で大学球界の精鋭たちを圧倒 (2ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

 練習終了後の会見で、大学日本代表の大久保哲也監督(九州産業大)は、印象に残った投手として金村尚真(富士大3年)とともに赤塚の名前を挙げた。

「195センチありますので、バッターは角度を感じてタイミングがずらされるのかなと感じました。コントロールも非常によかったですし、楽しみなピッチャーです」

 赤塚の名前を記憶している高校野球ファンも多いことだろう。赤塚は中京学院大中京高の背番号18をつけ、リリーフ投手として2019年夏の甲子園ベスト4進出に貢献している。ほとんど変化球を投げず、最速148キロの剛速球で押しに押す投球は目を引いた。当時、捕手の藤田健斗(現・阪神)は「赤塚のボールは動くので、真ん中に構えていればいろんな方向に動いて打ち取れるんです」と語っていた。

 2019年のドラフト前には藤田とともにプロ志望届を提出したものの、ドラフト指名はなかった。いかにも粗削りな素材段階だった赤塚は、ドラフトファンの間で「ロマン枠」と呼ばれた。高校卒業後は、中京学院大に進学している。

【大学入学後に先発転向、今秋は3試合完封勝利】

 2年目の今年に入って台頭し、今秋の東海地区大学・岐阜県リーグでは3試合で完封勝利をマークした。赤塚は自身の成長を実感しているという。

「高校の時はショートイニングだけだったんですけど、大学では先発完投しなければならないので。変化球でカウントを取れるようになったことが大きな成長だと思います」

 現在は落差の大きなカーブに加え、ツーシームをマスターしている。それでも、投球の軸がストレートにある点は変わらない。

 そして、どことなくぎこちなさの残る投球フォームも健在だ。高校時代よりもゆったりと間(ま)を取るモーションになり、直後に繰り出される剛速球とのギャップを打者は感じるのだろう。

 今回の強化合宿は2022年7月開催予定のハーレムベースボールウィークに向けて組まれており、合宿終了後に代表選手が発表されるわけではない。首脳陣による候補選手の力量の把握と、選手間の交流が主眼に置かれている。赤塚は合宿中に同学年の変則速球派サイド右腕の松本(名城大)と仲良くなり、「レベルの高い人たちと意見を出し合いながら過ごしています」と充実した体験になっているようだ。

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