神宮大会で評価が上昇した5人の逸材。ドラフト候補へさらなるパワーアップに期待 (2ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Ohtomo yoshiyuki

 とはいえ、中井哲之監督が「引っ張るだけでなくレフト方向にも放り込めるようになった」と語るように、逆方向へ強い打球を打てるようになってきている。本人もその点をアピールしたいようだ。

「ボールを引きつけて打つことを意識しています。(本塁打を放った打席以外で)引きつけて打てるシーンもあったので、よかったです」

 来春はさらにヒットゾーンが広がった姿を見せられれば、評価は一気に高まりそうだ。

 今大会は大物1年生スラッガーの佐々木麟太郎(花巻東)が神宮球場を沸かせたが、同校4番・捕手の田代旭(2年/右投左打)も鮮烈なアピールを見せた。

 身長180センチ、体重79キロと均整のとれた体型で、重心が低く、広いスタンスの構えから全身を大きく使うフルスイングは魅力十分。2回戦の高知戦ではライトポールを巻く高校通算40号本塁打を放った。

 試合後、リモート会見で1学年下の佐々木について問われた際の田代の答えが印象的だった。

「1年生に負けていられない気持ちはありますが、一番いいバッターなので。少しでも追いつきたい思いでやっています」

 いいものは後輩だろうが認め、学ぼうとする貪欲さが垣間見えた。なお、佐々木は金ケ崎シニア時代からの後輩になる。もはや先輩・後輩の関係を超越した存在なのだろう。
 
 来春は攻守にもうひと回りたくましくなった姿を見せられるか。佐々木、田代の強力な中軸はセンバツの目玉になりそうだ。

 大学の部では、来年のドラフト候補右腕、佛教大の木村光(3年/右投左打)が大胆なモデルチェンジした姿を披露した。

 今春の大学選手権ではオーソドックスにまとまったフォームから好球質の最速148キロをマーク。身長173センチ、体重70キロと小柄ながら、打者のバットの上を通過するようなキレが光った。

 だが、今秋に神宮球場のマウンドに登場した木村は、左足を高々と上げるフォームに一新。小川泰弘(ヤクルト)を彷彿とさせるフォーム変更で、体をダイナミックに使う意図が見えた。

「体重移動を意識した結果、このフォームになりました。今までより真っすぐの質が上がったと思います」

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