野球部の活動にSNSで問いかけ有効活用。大阪・公立進学高の指揮官は「本気で甲子園を目指す」 (3ページ目)

  • 沢井史●文・写真 text & photo by Sawai Fumi

 なかでも近年、野球界で浮き彫りになっているのが競技人口の減少だ。近隣の公立校では1学年の部員がひと桁のチームも少なくない。「公立高校はとにかく人がいない。ピンチを通り越した状況」と達監督は言う。

 以前は9区あった学区制は撤廃され、行きたい学校を選べるようになり生徒の行き来が頻繁になったことも事実だが、野球部員数は減少の一途をたどっている。単に少子化だけが原因とは言いきれない。

 丸刈りを撤廃し、かつては長くやればいいと思われてきた練習を見直す学校も増えている。

「きつい練習をずっとやればいいわけではない。本気で甲子園に行きたいなら、いろんなことを差別化しながらやっていかないといけない」

"練習=きつい"と思ってしまっては、選手の意欲も薄れ、成果も期待できない。達監督は選手と積極的に対話し、練習を伝えるため使っているLINEを利用して、選手たちからの意見も聞く。

 春の府大会は2回戦で履正社に0対14で敗れた。とくに公立校は、コロナ禍の影響で部活動が6月上旬までほとんどできなかった。その一方で私学は、相手と都合さえ合えば対外試合を平日でも行なえる。そうした違いに、達監督はやりきれない思いを抱いた。

 この点についても、ツイッターでさまざまな意見を聞いた。

「いろんな考えがある。現状を受け止めつつ、今できることをしっかりやっていかないといけない」

 寝屋川高校は、現在1学年20人前後の部員がいる。達監督のSNSを見て、勉強にも野球にも打ち込みたい選手が集まるようになったことも一因だ。

 現在、フォロワー数は5000人を超えている。熱心な返事や激励を受けることも多く、「とてもありがたい」と達監督は感謝する。

 今夏は2回戦で関大北陽に1対11で敗れ、存在を示すことはできなかった。それでも達監督は「甲子園を本気で狙います」と、完敗にもその表情は闘志がみなぎっていた。

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