野球部の活動にSNSで問いかけ有効活用。大阪・公立進学高の指揮官は「本気で甲子園を目指す」

  • 沢井史●文・写真 text & photo by Sawai Fumi

「私が仲よくさせてもらっている公立高校の先生は、ツイッターをやっている人がほとんど。次のステップを踏む意味でも始めてみようと思いました」

 そして昨年12月、アカウントを開設した。

 当初は学校名を明かさず、自身の名前だけで始めるつもりだった。だが、広報活動の一環という大義名分があるなかで、校名を知ってもらうことも大事だと考えた。名前や身分などすべて公表し、練習メニューや取り組みなどを毎日発信した。

 だが、「練習メニューなどを公表するだけでは、幅広く興味を持たれるわけではないぞ」と知り合いに言われ、あらためて考えた。

 単に進学校だから、公立校だから......ではインパクトが薄い。そこでタイムラインを見たフォロワーに対し、問いかけをすることにした。「こんな練習をやっていますが、みなさんはどう思いますか?」「選手にどのような指示を出しますか?」といった具合に気になることがあれば質問を投げかけ、多くの人から寄せられる意見に目を通し、面白いものがあれば取り入れるようにした。

 高校野球だけでなく、少年野球や大学の指導者や関係者、野球少年を子に持つ親など、全国の人とつながるようになり、「こんな考え方もあるのか」と発見の連続だった。

「わからないことを知ることができたし、多くの指導者の方とつながることができた。プラスになることが多い」

 ツイッターを始めたことは間違いではなかったと、あらためて認識した。ただ、リスクもある。不特定多数の人とつながるSNSは、素性の知らない相手とやりとりするがゆえに、トラブルに巻き込まれる恐れもある。本名などを明かさず関わってくる人も多く、心ないコメントを残す者もいる。

 そうした時にどう反応すればいいのか......公立校の一教師が、たやすく外部と関わりを持っていいものなのか。今回の試みも周囲の教員みんなが賛同したわけではなく、葛藤もある。

 だが、SNSを試用するうえで重要なのは"活用法"だ。使い方をきちんと心得ておけば、トラブルに巻き込まれることはない。多くの人とコミュニケーションをとり、直接送られてくるダイレクトメッセージにもきちんと返信する。そんななかで、今チームに必要なものや取り組みを模索してきた。

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