東海NEXUS監督が語る「球女」たちのリアル。プロは消滅でも高校の女子野球部は増加

  • 森大樹●文・撮影 text & photo by Mori Daiki

 関東では2002年に関東女子硬式野球連盟が設立されている。主催するリーグ戦「ヴィーナスリーグ」には現在、初のNPB傘下の女子野球クラブチームである埼玉西武ライオンズレディースや、今年8月に開催された全日本女子硬式野球選手権大会で優勝したエイジェック女子硬式野球部など、数多くの強豪チームが加盟している。

 また、関西では2013年から関西女子硬式野球連盟が「ラッキーリーグ」を主催し、今年から阪神タイガースWomanが参戦した。一方、中部地方では「センターリーグ」と呼ばれるリーグ戦を開催するための実行委員会は存在したものの、連盟組織がなく、試合日程を消化しきれないなどの状態が続いていたという。

 その状況を改善すべく今年4月、碇らは中部女子硬式野球連盟(クラブチーム4チーム、大学1チーム、高校5チームの計10チームが登録)を発足させた。5月からはセンターリーグ開催に向けたクラウドファンディングを実施し、目標額の100万円を大きく超える約150万円を集めている。

東海NEXUSの碇穂監督東海NEXUSの碇穂監督この記事に関連する写真を見る 中部女子硬式野球連盟の創設に先立って発足した東海NEXUSは、「中部地区の女子野球を牽引する存在になる」ことを目指すチームである。所属選手には元女子プロ野球選手も在籍しており、戦力は十分のように見えるが、碇監督はまず野球に真摯に向き合うマインドを醸成することが一番重要だと強調する。

「私は選手に繰り返し"全力"でやるように伝えています。自分が選手時代に体験したことでもありますが、どこかで必ず誰かが見ています。いつ見られても応援したいと思ってもらえる状態を作っておくことが必要なんです。勝つことはもちろん、応援してくれる人が増えるというのが本当の意味で"拡がる"ということだと考えています。

 本気で一生懸命に取り組める気持ちを持っていなければ、いくら技術面の練習をやっても身についていきません。だからまずはマインドを作って、そのあとに技術を教え、チームとしてどう戦っていくのかを突き詰めていくつもりです。そうすれば全国大会でも勝てる自信があります」

 入団選手を選定する時も、野球に対する姿勢をもっとも重視する。技術レベルは関係なく、実際チームには野球経験が浅かった選手もいるという。

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