強力打線がフライアウトを連発。169センチの新田のエースが見せた非凡さ (3ページ目)

  • 元永知宏●取材・文 text by Motonaga Tomohiro
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

 最後まで落ち着いたマウンドさばきを見せた向井についてはこう語る。

「先発を向井にするか古和田にするかで迷って、ふたりと話をして、向井で行くことに決めました。キャッチャー・古和田のほうが、相手は嫌なんじゃないかと思って。向井には、スピードを意識しないでコーナーに丁寧に投げるように、『逃げずに攻めろ』と話をしました。初出場なので、向かっていくだけ。新田の攻めの野球をしていきます」

 甲子園初登板を119球、被安打8、2四球、2失点で終えた向井は試合をこう振り返った。

「甲子園に初めて立って緊張したけど、試合になったら『やるしかない』と思いました。静岡大会のビデオを見たら(静岡の打線は)ストレート狙いだったので、緩急をうまく使って打ち取ろうと。スピードではなくて、コントロールと緩急が僕の持ち味。左バッターのインコースを突いて、勝負ができました。

 甲子園で勝つことを目標に練習に取り組んできて、甲子園で1勝できてよかった。2回戦以降は、粘り強く戦っていきたい。甲子園に出ただけでは満足できません。どんどん勝ち進んでいきたい」

自分よりも20センチ以上大きな好投手と対戦し、ひるまず臆さず果敢に投げ合った向井。平凡に見えて非凡なエースが甲子園をさらに熱くするはずだ。

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