本命なき「夏の甲子園」を予想してみた。軸は投打充実のイチローの母校か⁉︎

  • 田尻賢誉●文 text by Tajiri Masataka
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

 新型コロナウイルスの影響による昨年夏の中止を経て、2年ぶりの開催となる全国高等学校野球選手権大会。103回目となる今夏の甲子園は、センバツ優勝校の東海大相模(神奈川)をはじめセンバツ4強のうち3校が不出場など、本命なき大混戦が予想される。

投打でチームを牽引するプロ注目の愛工大名電・田村俊介投打でチームを牽引するプロ注目の愛工大名電・田村俊介この記事に関連する写真を見る そのなかで戦力が充実しているのが愛工大名電(愛知)だ。愛知大会では誉、至学館に続き、東邦、中京大中京、享栄と強豪私学を次々と撃破し甲子園出場を決めた。

 愛工大名電の売りは投手陣。右の寺嶋大希、野崎健太、左の田村俊介と計算できる投手を3枚擁し、連戦になっても大きな不安はない。3番の田村、4番の宮崎海が中心の攻撃陣もチーム打率.330と好調で、本塁打こそ6試合で1本だったが、勝負強い打者が居並ぶ打線は強力だ。

 センバツでは優勝、準優勝を経験している倉野光生監督だが、夏は2018年出場時の1勝のみ。学校としては工藤公康(現・ソフトバンク監督)がエースだった1981年以来の4強入りと優勝を狙う。

 愛工大名電に続くのが、センバツ準優勝の明豊(大分)、2018年以来の全国制覇を狙う大阪桐蔭、その大阪桐蔭を昨年秋、今春のセンバツと2度破った智弁学園(奈良)、新監督で再起を図る横浜(神奈川)の甲子園常連校だ。

 明豊は、センバツでは3投手の継投で勝ち上がったが、エースの京本真が一本立ち。横手投げの財原光優も安定している。この夏の大分大会では京本が20イニングを投げて3四死球、財原が17イニングで2四死球と無駄な走者を出さない。守備陣も大分大会の5試合で3失策と堅く、失点を計算して戦える。あとは大分大会わずか2イニングの登板だった左腕・太田虎次朗の復調が上位進出のカギとなる。

 センバツでは西谷浩一監督就任後、初の初戦敗退に終わった大阪桐蔭は、夏にチーム力を仕上げてきた。大阪大会7試合で3本塁打と長打力こそ例年より劣るが、チーム打率.405は歴代でも屈指の数字。大阪大会の打率.654の池田陵真、打率.556の花田旭は力強さと勝負強さを兼ね備えた好打者だ。

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