超高校級右腕3人、高校通算70本塁打の強打者...夏の甲子園地方大会で散った20人の逸材 (2ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

 プロ注目選手がひしめいた愛知では、最速150キロを超える畔柳亨丞(中京大中京)、竹山日向(享栄)の両右腕がともに愛工大名電の前に涙をのんだ。

 畔柳は今春センバツで力投を見せ、ベスト4進出へと牽引。愛知大会では準決勝で1対3と敗れ、春夏連続での甲子園出場はならず。試合後はプロ志望を明言した。

 竹山も畔柳と同様に球威のある速球派で、今夏は最速151キロをマーク。肥田優心ら豪華投手陣を擁して決勝戦まで勝ち上がったものの、愛工大名電の強打線を止めきれず。5対8で敗れている。

 山本大揮、柳川大晟の大型右腕二枚を擁した九州国際大付は、福岡大会準々決勝で飯塚の前に3対10とよもやの大敗。山本は身長184センチ、体重86キロとたくましい肉体を誇りながら、カットボールを武器にゲームメイク能力の高さを武器にする。一方、身長191センチ、体重85キロの柳川は潜在能力の高い長身右腕ながら、今夏はもうひとつ球速が伸びなかったのが気がかりだ。

 北海道では、最速148キロの本格派右腕・田中楓基(ふうき/旭川実)が北北海道大会1回戦で延長13回タイブレークの末、帯広大谷に10対12で敗退。田中は途中ライトに回りながら2度にわたってマウンドへ上がるも、波に乗り切れないまま交代した。

 今春センバツ初戦の明徳義塾戦で完璧なリリーフを見せ、話題になった伊藤樹(仙台育英)も甲子園に届かなかった。仙台育英は宮城大会で絶対的な優勝候補に挙げられていたが、4回戦でノーシードの仙台商に2対3で惜敗。伊藤は先発しながら押し出し四球を許すなど、3失点と持ち前の総合力の高さを発揮できなかった。

 東東京大会の準決勝・修徳戦で最速152キロをマークした市川祐(関東一)は、連投となった決勝戦で二松学舎大付の前に1対5と完敗。7回以降に4失点を喫するなど、疲れを隠せなかった。

 左投手では、春のセンバツ優勝投手に輝いた石田隼都(東海大相模)が不本意な形で夏を終えた。野球部内で新型コロナの集団感染が発生したため、神奈川大会準々決勝で出場辞退に。石田はそれまで3試合に登板して12回無失点と盤石だっただけに、惜しまれる。

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