超高校級右腕3人、高校通算70本塁打の強打者...夏の甲子園地方大会で散った20人の逸材

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

 8月9日に開幕する第103回全国高校野球選手権大会。風間球打(ノースアジア大明桜)という目玉選手が出場する一方で、群雄割拠の地方大会で敗れ去った逸材もいる。残念ながら大舞台に立つことは叶わなかったものの、ドラフト戦線に影響を及ぼしかねない20選手を紹介していこう。

 今年の高校生投手は現段階で4人の右腕が突出している。前出の風間に加え、小園健太(市和歌山)、達孝太(天理)、森木大智(高知)。それぞれに個性が異なり、優劣をつけるのは難しい。それだけに今夏のアピールが重要だったのだが、風間を除く3投手は甲子園に出場できなかった。

今年春のセンバツに出場した市和歌山のエース・小園健太今年春のセンバツに出場した市和歌山のエース・小園健太この記事に関連する写真を見る 小園は今春の選抜高校野球大会(センバツ)で県岐阜商の強打線を4安打完封に抑えるなど、高い制球力と投球センスを発揮。その反面、球威の物足りなさを指摘するスカウトもいた。

 春夏連続甲子園出場を目指した今夏、和歌山大会決勝で立ちはだかったのが名門・智辯和歌山だった。昨秋は市和歌山が3連勝した相手だったが、今夏は1対4で完敗。小園は8回を投げ、被安打7、奪三振0、与四死球5、失点4。投打にタレントを擁し、走攻守に鍛え込まれた智辯和歌山に屈する形になった。

 達は今春のセンバツで大ブレイク。身長193センチ、体重85キロの立派な体躯から最速148キロを投げ込み、そのポテンシャルは底知れない。だが、センバツでベスト4に進出した代償として左脇腹を負傷。春の県大会後には右ヒジ炎症もあり、今夏は背番号11で迎えた。

 奈良大会準決勝の高田商戦では試合中盤からリリーフするも、波に乗り切れず守備陣の乱れもあって逆転サヨナラ負け。とはいえ、大きなスケールに器用さも併せ持つ好素材だけに、今さらプロ側の評価が下がるとは考えにくい。

 森木は中学3年時に軟式球で最速150キロをマークし、野球界を騒然とさせた"スーパー中学生"だった。高知高進学後は思うような結果を挙げられずにいたが、雌伏の時期を過ごしながら着実にレベルアップ。今年5月には自己最速の154キロを計測するなど、本領を発揮しつつあった。

 だが、今夏の高知大会決勝戦で宿敵・明徳義塾に惜敗。8回まで2失点と踏ん張ったが、序盤からハイペースで飛ばした影響かボールの抑えが効かなくなり、2暴投でピンチを広げたところで降板。結局、一度も甲子園に出場することなく高校野球を終えた。

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