投打の軸3人が不振、それでも春大会は優勝。大阪桐蔭が1強ムードの夏大会はどうなる? (4ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

 春は松浦、関戸はほとんど登板せず、打線では池田が不振。考えれば、投打の軸である3人がほぼ機能しないなか、大阪大会を制し、近畿大会でも優勝。選手層の厚さをあらためて示した形となった。

 この春、主戦として投げた竹中勇登はゲームメイク能力が高い右腕で、ここに川原嗣貴、別所孝亮、川井泰志といった素質ある2年生が控える。大阪大会は勝ち上がれば、後半の1週間で5試合予定されており、投手陣の厚みは心強い限りだ。

 打線も春から4番に入り、好調を続けているのが花田旭。今年の大阪桐蔭打線を象徴するアスリートタイプで、脚力を生かした長打が持ち味である。ほかにも、野間翔一郎、藤原夏暉、繁永晟、宮下隼輔といったスピードを揃えた好打者が並ぶ。

 この布陣を見れば、他チームが「抜けている」と言いたくなるのも頷けるが、夏の大阪は何が起こるかわからない。

 なかでも不気味な存在は、やはり履正社だ。2012年夏は決勝で大阪桐蔭と対戦し、一時は9点差をつけられるも8回に一挙7点を挙げ、あわやの展開に持ち込んだ。2018年夏は準決勝で大阪桐蔭と対戦し、あと1アウトで勝利というところまで追い詰めた。いずれも大会前は「大阪桐蔭の1強」と言われていた年だ。

 そうした怖さを知り尽くしているからこそ、西谷監督の言葉にも熱がこもる。

「もっといいチームになると思ってやっていますが、まだまだ仕上げられずにいます。でも、そこを必ずというか、なんとか仕上げて、この子たちを勝たせてやりたい」

 大阪桐蔭の初戦(2回戦)は7月18日、3年前の北大阪大会決勝で戦った大阪学院が相手となる。1強ムードのなか、どんな戦いを見せてくれるのだろうか。

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