投打の軸3人が不振、それでも春大会は優勝。大阪桐蔭が1強ムードの夏大会はどうなる? (3ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

 春の大阪大会前に太ももに違和感を覚え、出場したのは準決勝から。復帰後もスイング時にバランスが崩れ、近畿大会、その後の練習試合でも調子が上がってこなかった。それでも高知戦のあとには、こう力強く語った。

「今日の打席で悪い点がいろいろ見つかったので、ここから一気に上げていきたい。チームとしてはここまでいい形で進めているので、あとは自分だけです」

 自身の調子が上がらない時に主将としてチームを引っ張るのは難しいだろうと勝手に想像したが、まったく無用だった。

「自分の結果にチームが左右されないことが、キャプテンとして一番大事なことだと思っています。そこは普段から心がけているので大丈夫です」

 能力の高い選手たちが満足することなく、日々課題と向き合いながら精進していく。現チームでは常に脚光を浴びてきた松浦慶斗、関戸康介の両投手も同様である。

 松浦は昨年夏から登板するなど経験を積んできたが、理想と現実のギャップに苦しんできた。春の大阪大会ではベンチ入りメンバーから外れ、徹底的に走り込み、この夏に備えた。2イニングを投げた高知戦のあと、松浦はこのように語った。

「春はゴロを打たせるピッチングを意識していましたが、それ以降はもっと強いボールを投げようと、それまでより腕を振って投げることを課題にしてきました。昨年秋の近畿大会決勝、センバツでも自分が先発して負けてしまった。夏は先発どうこうではなく、どうしたらチームの力になれるか、それだけを考えてやっていきたい」

 一方の関戸は小学生の時から名の知れた投手で、大阪桐蔭に入学してからはさらに高い注目を集めた。スピードでは全国トップクラスだが、ここまでは大会で結果を残せずにきた。じつは昨年3月と12月に利き腕である右手の中指、人差し指を骨折。「そこを言うと逃げになるので......」と多くは語らないが、これによって微妙な感覚のズレが生まれ、関戸を苦しめてきた。

「春のセンバツで負けて、チームとしても日本一への思いはどこよりも強いですし、自分自身でもセンバツでは情けない結果になってしまった。夏は少しでも自分の投球でチームの勝ちにつながるように、精神的にもコンディション的にもしっかり整えて大会に入っていきたいです」

3 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る