投打の軸3人が不振、それでも春大会は優勝。大阪桐蔭が1強ムードの夏大会はどうなる? (2ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

 大阪桐蔭の強さもさることながら、"1強"ムードになっているもうひとつの要因は、最大のライバルである履正社にいつもの強さが見られないことも大きい。昨年秋は3位決定戦で公立校の山田に敗れ、春も4回戦で興国に敗退した。

 これまでにも「今年の夏は大阪桐蔭で決まり」といった年があった。たとえば、藤浪晋太郎(阪神)がエースの2012年や根尾昂(中日)や藤原恭大(ロッテ)らを擁した2018年だ。これらの年はセンバツ優勝を果たし、春夏連覇をかけて挑んだ夏だった。

 その点、今年のセンバツでは相手が強豪校の智辯学園であったとはいえ、甲子園で初めて初戦敗退の屈辱を味わった。だからこそ、この"1強"ムードにわずかながら違和感を感じているのも事実である。

 そのあたりを西谷監督に聞くと、2012年や2018年のチームとは「全然違います」と即答した。それなのに勝って当然の空気がつくられていることに難しさがあるのでは......と聞くと、西谷監督はこう答えた。

「(センバツを制した)当時のチームでも『まだまだ力はないぞ』と言ってきましたが、今のチームは結果も出ていないですし、なんの力もありません。とにかく、地に足をつけて頑張ります」

 主将の池田陵真にも「1強ムード」について尋ねた。

「相手がどうこうというより、自分たちがやるべきことをどれだけできるか。自分たちの力をしっかり発揮して、自分たちの野球ができれば必ず勝つことができる。夏の大会は秋や春とは全然違うものと思っているので、周囲の声に惑わされることなく、気持ちを前面に出して日本一になります」

 大阪桐蔭の選手たちは、日本一と自らの成長という2つの命題を念頭に置きながら戦っている。そこで培われたメンタルの強さ、意識の強さがあってこその結果だといえる。

 3番を任され、攻撃の軸でもある池田だが、春以降は不振に陥っていた。高知との練習試合(ダブルヘッダー)では人生初の5打席連続三振を記録。高知の注目の好投手・森木大智との対戦以前に問題を抱えていた。

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