投打の軸3人が不振、それでも春大会は優勝。大阪桐蔭が1強ムードの夏大会はどうなる?

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

"油断"という類のものにもっとも縁遠いチームだろう。勝ち切る力強さと、簡単に負けない粘り強さを備え、この15年の間で春夏合わせて7度の日本一。いまや全国屈指の強豪校として名を馳せる大阪桐蔭。

 これだけ勝てば隙や綻びが見えてきてもおかしくないが、何事も慎重のうえに慎重を期す西谷浩一監督が率いるチームにそうした要素はない。

 いくら勝っても浮かれることなく、監督、選手とも口を開けば「まだまだです」「ここからもっと」という言葉が判で押したように返ってくる。

目標は日本一と語る大阪桐蔭・池田陵真主将目標は日本一と語る大阪桐蔭・池田陵真主将 7月16日に夏の甲子園をかけた大阪大会が開幕したが、その大阪桐蔭に"1強"ムードが漂っている。大会前にいくつかのチームの監督と話をしても、「打倒・大阪桐蔭」への思いを熱く語る一方で、「普通にやれば桐蔭」「今年は桐蔭が抜けている」といった本音が漏れてきた。

 7月3日に大阪桐蔭と高知高校との間で行なわれた練習試合のあと、西谷監督は報道陣の質問に答えていた。

「まだまだあれもやらないといけない、これもやらないといけないという気持ちで毎日やっていますが、思いどおりにいかないことが多く、もがきながらやっています」

 いつもどおりの控えめなコメントのあと、大阪大会の展望についても聞いてみた。「今年の大阪は、大阪桐蔭が抜けているという声を聞きますが......」と。もちろん、その質問に乗ってくるはずもなく、いつもの調子でこのように語った。

「そういって、みんな褒め殺しするんです(笑)。力がないのは自分たちが一番わかっていますし、(強いと言われることについては)みなさんにいつも書いてもらっているので慣れています」

 とはいっても、結果だけを見れば"1強"の声をあと押しする。新チーム結成以降、昨年秋、今年春の大阪を制し、春は近畿大会でも優勝を飾った。

 しかも、秋は準決勝で履正社に8対3、決勝の東海大仰星にも8対1。春も準決勝で関大北陽を12対2(6回コールド)、決勝の近大附も16対0と「打倒・大阪桐蔭」に燃える私学を圧倒した。

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