松坂大輔も音を上げた。野球部OBが振り返る小倉コーチの猛練習と横浜高校あるある (2ページ目)

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo
  • 写真/山本哲也氏提供

――小倉コーチからはさまざまな指導を受けられたと思いますが、印象に残っていることは?

山本 なんと言ってもアメリカンノック。ひたすら走らされるんですけど、小倉コーチはノックがめちゃくちゃうまいんですよ。捕れるか捕れないかの、絶妙なところに打つんです。何回か捕れるまで終わらないんですが、そういう妥協しない練習が後になって生きましたね。

 松坂(大輔)も、小倉コーチのアメリカンノックが野球の練習で唯一つらかった、と取材などで話していますね。松坂のフィールディングや牽制のうまさは、小倉コーチの指導の賜物(たまもの)だと思います。

――アメリカンノック以外の練習はどうでしたか?

山本 体力面を鍛える練習もそうですが、細かいプレーの座学も、夜に寮などでとことんやりましたね。(インタビューに持参した当時のノートをめくりながら)たくさんメモしていますけど、対戦校の投手や打者の特徴、戦術など、"野球学"を徹底的に叩き込まれました。「お前はバカで書かないと忘れるから、とにかく書け!」と言われたりして(笑)。

 あと、練習の最終メニューで「ダービー」というのがあって、小倉コーチの仕切りでグラウンドをずっーと走るんですけど、タイム以内に入れないとエンドレス。僕は長距離が苦手だったので何回もやりました。その光景が夢にも出てくるぐらいで、本当に嫌でしたね。

 ダービーをやる頃は日も落ちていますし、あたりが暗くなっていて、コーチがいる位置から遠くを走る選手がよく見えないんです。1年生はしっかりとフェンス沿いを走るのですが、3年生になると距離をごまかすため、ビューッとショートカットしたり。僕もそれでやっとタイム以内に入れました(笑)。渡辺監督にはメンタル面を鍛えられ、小倉コーチには技術を教わりました。本当にゴリゴリしごかれましたよ。

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