ライバルはセンバツ優勝の立役者。神奈川公立校の大型右腕にプロスカウトも「楽しみな存在」 (2ページ目)

  • 大友良行●文・写真 text & photo by Ohtomo Yoshiyuki

 遠藤監督の指導のもと、加藤は着実に力をつけてきた。

「本人も上でやることを意識しているので、『練習は厳しくするぞ』とテスト休み期間も呼び出して、ピッチングや走り込みをやらせました。入学当初はスリークォーター気味で投げていましたが、本格派に育てるため真上から投げるようにしました。体も柔らかくなって、スピードだけじゃなくボールにキレが出てきました。性格も素直なので、これからもっと伸びていくと思います」

 練習環境も公立校のわりには恵まれている。校舎から道一本隔てたところに河川敷グラウンドがあり、学校にはピロティ(吹き抜けの空間)があり、雨天練習場として利用できる。女子マネージャーを含め29人の部員たちが、日々練習に励んでいる。

 加藤は打っても4番を任されており、まさにチームの大黒柱である。彼の活躍次第で勝敗が決まるといっても過言ではない。

 昨年夏も独自大会の荏田戦で加藤が力投し、2対1で勝利。つづく横浜商大高戦で大敗を喫したものの、ベスト32に入る健闘を見せ、川総が注目される要因となった。また今年春の県大会でも強豪・鎌倉学園相手に敗れはしたが3対7と善戦し、存在感をアピールした。

 加藤のピッチングについて、ソフトバンクの宮田善久スカウトはこう語る。

「まだ下半身の力がしっかりしていないので、野球をやる体にはなっていません。とはいえ、一から基礎体力をつけて、能力を上げていけば楽しみな存在になるのは間違いない。投げっぷりはいいし、投手としての資質はすばらしいものを持っています。少し時間はかかるかもしれないですが、しっかり鍛えていけば十分に上でやっていけると思います」

 激戦区・神奈川で加藤の名をさらに知らしめることはできるのか。いよいよ最後の夏が始まる。

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