佐々木朗希2世、和製ランディ・ジョンソン...初の甲子園にかける地方大会注目の10人 (3ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Sankei Visual

 今年の左腕のなかで圧倒的な存在感があるのが、羽田慎之介(八王子)だ。身長191センチ、体重86キロのスラリと伸びた長身で「和製ランディ・ジョンソン」の異名を持つ。最速149キロの快速球は、捕手のミットにミサイルのように突き刺さる。

 ポテンシャルばかり注目されるが、試合当日の体調や感覚を察知して使える球種を判断するなど、思考力や器用さも持ち合わせている。

 昨秋の左ヒジ痛からの回復を優先させたため、今春は公式戦でわずかな登板機会に終わった。その後は順調な調整を続けており、今夏は全開のパフォーマンスを見せてくれそうだ。

 野手でモノの違いを感じさせるのは、阪口樂(うた/岐阜第一)だ。悠然とした構えからムードがあり、柔らかいスイングで打球を運べるスラッガー。その姿は大谷翔平(エンゼルス)を彷彿とさせる。高校通算本塁打は20本台と派手な数字こそないが、打者としての将来性は今年の高校生で屈指だろう。

 ただし、秋春の東海大会では15打数0安打とふるわず、内容も伴わなかった。今年は例年に比べて高校生野手の素材が乏しいだけに、阪口が今夏に巻き返せるかはドラフト戦線にも大きな影響を及ぼしそうだ。

 プロでの需要が高い右の強打者では、有薗直輝(千葉学芸)が筆頭格だ。高校通算本塁打数は夏の大会を前に70本に到達。今春の千葉大会では打撃時に左目付近を負傷して途中退場しながら、「とにかく試合に出たい」と直訴して次の試合から復帰。新興勢力・千葉学芸の県大会初優勝に大きく貢献した。

 強打に隠れがちながら、強肩を生かした三塁守備もプロで売りにできるレベル。また、投手としては最速148キロを計測し、ハイレベルな変化球にも自信を持っている。

 その有薗が強く意識するのは、小学6年時にロッテジュニアのチームメートだった吉野創士(昌平)だ。「この力感でここまで飛ばすか」と見る者を驚愕させるホームランを打てる右打者で、高校通算50本台をマークしている。走攻守の総合力が高く、アスリート型の野手としてスカウトは熱視線を送る。

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