バリバリのドラ1候補に急浮上の大学生左腕。隅田知一郎が頭ひとつ抜けた (3ページ目)

  • 菊地高弘●文・写真 text & photo by Kikuchi Takahiro

 隅田にとっては、「野手のみんなに助けてもらったから大学選手権に出られた」という思いがある。今春の九州地区大学北部ブロックは近年まれに見る大混戦になり、西日本工業大、日本文理大、別府大の3校が同率で並び、優勝決定戦(巴戦)を行なった。

 隅田は別府大戦に先発、日本文理大戦にリリーフと連投するも、疲労はピークに達していた。9連覇中の絶対的王者・日本文理大に2点の勝ち越しを許し、西日本工業大は窮地に立たされる。だが、主将の前田瑞が9回に同点二塁打を放ち、延長11回の末に優勝を手にした。

 仲間の援護がなければ、神宮での快投もなかった。上武大戦後、引退する同期から「もっと大きな存在になってくれ」と励まされた隅田は、新たな決意を胸に再スタートを切っている。

「チームメイトからも『エースは隅田だ』と言ってもらって、なんとか西日本工業大として初めて全国大会勝利を挙げたかったんです。春はそれが叶わなかったので、秋もまた神宮に出てアピールしたいです」

 目指すは明治神宮大会出場。秋のリーグ戦では、王座返り咲きを狙う日本文理大も黙ってはいないだろう。また、明治神宮大会に出場するには、九州六大学と福岡六大学の代表校とも1つの出場枠を争うため、ハードルはより高くなる。

 それでも、隅田が再び神宮球場に帰ってくることがあれば、その時は間違いなく「ドラフト1位」の称号も引っさげていることだろう。

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る