2021.05.15

阪神・佐藤輝明に似た大物スラッガー。神奈川大のドラフト候補は「ものすごい逸材」

  • 菊地高弘●文・写真 text by Kikuchi Takahiro

 本来ならバットを振り込む時期に鍛え込めず、梶原の打棒も春から湿りがちだった。岸川監督は自身も大学時代に神奈川大学リーグ通算22本塁打をマークし、西武に在籍したキャリアをもつ。同じスラッガーとして、こんな見方を示した。

「コロナ禍の影響で、スラッガー系の選手は軒並み成績を落としています。自分ひとりで練習できるピッチャーはみんな状態がいいでしょう? コツコツ当てにいく打者ならまだしも、しっかりとバットを振るタイプの選手は実戦経験がものをいいます。今は実戦が不足しているので、仕方がない部分もありますね」

 だが、5月8日の横浜商科大戦で梶原は大器の片鱗を見せつける。横浜商科大の先発右腕、最速154キロの飯田琉斗から決勝の2ラン本塁打を放ったのだ。

 直前の打席では、飯田の剛速球の前に手も足も出ずに三球三振。完璧にねじ伏せられた直後の打席で、梶原は気持ちを切り替えていた。

「飯田の性格を考えると、どうせストレートで勝負してくるだろうと思いました。飯田とは2年生の時に神奈川リーグ選抜のオランダ遠征で一緒になって、それから交流があったんです。飯田のストレートは力があるので、それを逆に利用しようかなと。気持ちを切り替えて、初球から力感なく振りました」

 この本塁打が大学リーグ通算10号になった。もちろん、梶原にとっては通過点にすぎない。

◆偏差値72の福岡高校で最速149キロ。プロ注目の右腕は東大より狭き門を目指す>>

 試合後、梶原の本塁打について岸川監督に尋ねると、冗談めかして「宝くじが当たったようなものです」と答え、こう続けた。

「昨日の練習で伝えたんです。『打てないことが多くても、自分だけは見失ってほしくない。チームのことを考えるのももちろん大事なんだけど、あなたにはあなたのバッティングがあるでしょう』と。梶原はコツコツ打つよりも、試合を決める一打を打つのが結果的にチームに一番貢献できるので」