大谷翔平効果は大学にも。二刀流の日体大エース、ドラフトでの評価は? (2ページ目)

  • 菊地高弘●文・写真 text & photo by Kikuchi Takahiro

 とはいえ、矢澤の日常生活は投手中心である。日本体育大の古城隆利監督は「普段は投手の練習が8~9割、空いた時間にバッティング練習をするだけ」と明かす。投手の練習を中心にすることで、体づくりを優先して進められるメリットがあるという。

 東海大戦では7回を投げて被安打3、奪三振8、与四球5、失点2(自責1)という結果だった。序盤から制球が荒れたものの、最速145キロの快速球と縦横2種類のスライダーにチェンジアップとキレのある投球を見せた。

 昨年までは「平地ではいいボールがいくけど、マウンドに立つと傾斜をうまく使えていない」と課題を語っていたが、だいぶ改善されてきたようだ。

「オープン戦でいろんな球場で投げさせてもらうなかで、マウンドの環境によって投球が変わることがなくなってきました。平地でのキャッチボールでも、常に傾斜を意識して練習しているので」

 東海大戦では守備のミスも絡んで逆転を許し、8回からはライトの守備に回った。チームは1対2で敗れたものの、矢澤の二刀流本格始動はまずまずの出足と言っていいだろう。

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 投手としても野手としても、矢澤は来年のドラフト上位指名候補に挙がるだけのポテンシャルがある。だが、大谷のようにプロでも投打を両立すべきかと言えば、評価は分かれるはずだ。いずれ近い将来、どちらかに絞る日が訪れるかもしれない。

 そこで、矢澤を身近で見守る古城監督に矢澤の将来図をどのようにイメージしているか尋ねると、こんな答えが返ってきた。

「私はひょっとしたら野手かな......と感じていますが、左で140キロ台中盤を投げて、キレのある変化球を投げられる投手はそういません。野手としてはバッティングがいいだけじゃなく、足も速いし外野からの送球もすばらしい。練習は投手中心なので、野手として伸びしろはまだまだあります。でも、どちらでも可能性がある以上、今の時点で無理に絞る必要はないと考えています」

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