周東2世、変則右腕...社会人野球で輝きを放つ3人の個性派 (3ページ目)

  • 菊地高弘●文・写真 text & photo by Kikuchi Takahiro

 試合後、三菱自動車岡崎の野波尚伸監督は坂巻について、このように評価した。

「初球にやられて失点するケースが多くて、今日もそのパターンだったのは反省点でした。いいボールは持っているのですから、打たせて取るピッチングをしてもらいたいですね」

 大卒3年目と年齢的にプロ入りのハードルは高くなるが、投手としての旬は投球術を覚え始めてきたこれからだろう。年間を通して安定した投球を見せられれば、チャンスは十分あるはずだ。

俊足巧打の左打者、カナフレックスの新宅優悟俊足巧打の左打者、カナフレックスの新宅優悟 今大会初出場のカナフレックスは、3月9日の初戦で強豪・日本製鉄鹿島を7対2で破るなど鮮烈な印象を残した。とくに3番・センターの新宅優悟は、3試合で打率.417、2盗塁と輝きを放った。

 東農大北海道では、1学年下のブランドン大河(西武)らと大学選手権に出場して全国ベスト4に進出した。だが、当時の新宅は「足と肩だけでやっていて、バッティングは当てにいっていた」と目立つ選手ではなかった。

 社会人野球でのプレーを希望し、セレクションを兼ねた練習会に2社参加したが、いずれも不採用。「もう野球をやめようか」と悩んでいたタイミングで、滋賀県東近江市の新興チーム・カナフレックスから声がかかった。

 南海(現・ソフトバンク)などで活躍した山田勉監督による「バットをしっかりと振る」チーム方針に乗せられるように、新宅の打撃はめきめきと上達した。昨年の都市対抗近畿二次予選では、名門・日本生命戦で7打数5安打の大暴れ。日本製鉄広畑戦ではサヨナラタイムリーを放ち、番狂わせの立役者になった。

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 それでも都市対抗出場を逃し、新宅は補強選手にも選ばれなかった。補強選手に選出されなかった理由を新宅は「自分ではわかっています」と語る。

「去年は左ピッチャーが打てなかったから、補強選手に選ばれなかったのだと思います。悔しい思いをしたので、今年は左ピッチャー対策をしてきました。最近は左ピッチャーでもヒットが出る確率が上がってきました」

 スポニチ大会では左投手の外角に逃げていく変化球にもうまく対応し、ヒットを放つシーンも見られた。

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